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贈与は贈与者の意思に基づいて行なわれたこと(贈与の意思表示があったこと)が明確になっていることが重要です。そのため、「お父様の代わりに受託者が孫に送金(贈与)する=信託口口座から受託者が直接的に送金手続をする」ことは望ましくありません。(仮に信託契約書上の信託目的に贈与の記載があったとしても、家族信託で贈与を行うことは推奨しません。)
また、信託財産が名義預金とみなされないように=税務署に贈与を否認されないようにすることも重要です。贈与契約書等をご用意いただくか金融機関が介在する形での贈与信託などを利用するなどして、受贈者への名義移転が明確になるように実施されることをお勧めいたします。
信託契約に定めた信託終了事由が発生すると信託が終了します。定め方は契約ごとに異なりますので、信託契約書をご確認ください。
主な事由としては、①受益者が死亡した場合、②信託財産がなくなった(ゼロになった)場合、③受託者の離脱後に新たな受託者が一定期間内に登場しない場合、④受益者と受託者が終了の合意をした場合などです。
信託終了事由が発生すると、残余の信託財産を帰属権利者に分配する手続(清算手続)に移行します。この清算手続が完了するまでの間は、信託法の定めにより、信託は完全には終了していない状態になります。完全に終了するまでは、受託者または清算受託者としての職務が残っていますのでご注意ください。
上記が基本の考え方となりますが、委託者や金融機関の了承を得て一時的に移す場合など、信託関係者の同意を得ており、かつ、信託外の金銭と混同しないように分別管理ができる状態なのであれば、受託者様の判断にお任せいたします。
契約締結後になんらかの事情により家族信託を解約したい場合は、信託契約の定めに基づき解約手続を実施します。
通常、「受託者及び受益者が合意し、信託監督人がこれに異議をとどめなかった」場合は、信託契約を終了することが可能です。
ただし、その時点で受益者が意思能力を喪失している場合は、合意解約ができません。信託法の考えでは「受益者のために信託行為を行っているので、受託者が一方的に終了させることはできない」という建て付けとなっているためです。
信託目的に記載がない限り、投資商品の購入や運用はできないというのが基本の考え方です。委託者がそこまでの権限を受託者に与えていることを、書面上で確認できないためです。
ただし、資産の目減りを防ぐことを目的とするようなリスクを抑えた運用(定期預金その他元本を毀損しないような運用)については、委託者や金融機関の了承を得ているのであれば受託者様の判断にお任せいたします。これに対し、株式や投信等のリスクを伴う積極的な投資運用については、原則通り信託目的にその旨を記載することが必要です。
基本の考え方は上記の通りですが、必ずそうしないといけないというわけではありません。
信託口口座以外の受益者の固有口座でお支払いすることも、受託者の固有口座から立て替え払いすることも可能です。この場合は後でご家族間で問題が生じないよう、お話し合いの上で進めていただくようお願いいたします。
承継割合の変更など、契約内容の重要な部分の変更については公正証書化することをお勧めいたします。また、不動産を追加信託する場合も、信託登記の手続が必要となることなどを踏まえ、公正証書化することをお勧めしております。
借地権(またはその契約書)が現行民法と旧民法のどちらに基づくものなのか、まず確認する必要があります。現行民法と旧民法では、借地期間の更新に関する定めの内容が異なるためです。
例えば、旧法における借地権は半永久的に更新可能ですが、現行法における借地権(平成4年以降に契約された借地権)には普通借地権と定期借地権の区分けがありますので、契約期間後の返還が必須となっている場合もあります。
また、契約更新できる場合でも、更新料がいくらになっているかを確認しておく必要があります。
その他、借地上の建物を建て替えたり、売却によって名義変更する際に地主に支払う承諾料についても契約書に明記されているはずですので、今後の活用方針を検討するためにも、その点を事前に把握しておくことが必要です。
権利関係について親から口頭で聞いていた話と実際の登記が異なっているというケースもありますので、早めに「登記簿」を取得して確認されることをお勧めいたします。土地の一部が別の親族との共有になっていたり、祖父母名義のままになっていることがあります。
登記については公開されているものですので、不動産業者に依頼して取得・確認することも可能です。手続がよくわからない場合は、権利関係の確認を始める時点で弊社または不動産仲介業者にご相談いただくことをお勧めいたします。
上記の他、売却に必要となる書類の有無の確認とあわせて、売却の際により高く売れることを優先するのか、早く売れることを優先するのかなど、売却の方針をご家族内で話し合って整理・調整いただいていると、手続がスムーズになります。詳しくは、専門家を交えて詰めていく方が安心です。
不動産の書類としては、権利書(または登記識別情報)の他、できれば測量図があると売却活動のスタートを早めることができます。
エレベーターの有無に限らず、日常生活における困難さが不動産の評価に影響することがあります。エレベーターなしの集合住宅の場合は、高層階よりも低層階の物件の方が売却が進めやすいことになります(売却先を確保しやすい)。
なおマンションの場合は、過去の修繕実施状況や修繕積立金の状態、長期修繕計画表、管理会社から発行される重要事項調査報告書等についても、買い手側が確認することになりますので、これらの要素も売却価格に影響します。マンション全体の維持管理状態も売却価格に影響しますので、ご注意ください。
親御様がグループホームなどの施設への入居後、半年〜1年くらいで落ち着かれた時に売却を検討されるケースが比較的多いようです。実際に売却活動を行うお子様世代の方が長期休暇を取得したり、転職により一時的に時間を確保できる状況になった際に、売却活動を進めるというケースもあります。
受益者の死亡等により信託が終了した場合、契約書内で事前に定めた承継割合に沿って残余の信託財産を帰属権利者に分配していくのが通常ですが、「帰属権利者からの一致した指図がある場合はこれに従う」といった定めが置かれている契約書もあります。
この場合は、全ての帰属権利者間で合意することで、承継割合を変更可能です。ただし、分配に際して金融機関等の第三者による厳格なチェックを経る必要があるものなどについては、第三者が合意内容に応じない可能性もあります。
なお、遺産分割協議の内容が相続発生時に遡ってその効力を生じるのとは異なり、信託における承継割合の変更には遡求効が認められていません。そのため、税務上は「当初の定め通りの財産分配が行われた後、新たな割合に従って財産が移転した」ものと捉えられ、後段の移転については、「帰属権利者の一人から別の帰属権利者への贈与」と判定され、贈与税が発生することになるのでご注意ください(この点について明確な税務判断はまだありませんが、上記のように捉えていただいた方が安全です)。
信託法182条2項によれば、委託者の死亡により信託が終了した際に残余財産の帰属権利者の定めがない場合には、委託者の相続人を帰属権利者と指定する定めがあったものとみなされます。なお、複数の相続人がいる場合は、残余財産が各相続人に移転することになり、財産によっては共有状態になります。この際、信託の残余財産は相続財産とは扱いが異なる点についてご注意ください。
相続財産は、遺産分割協議をすれば被相続人の死亡時点に遡って協議の内容が有効に扱われますが、信託財産の帰属先について改めて相続人間で協議しても上記のような遡求的な扱いはされません。
その結果、信託終了による共同相続人への権利移転と、その後の共同相続人間での権利移転が生じたと解釈され、後者の移転については贈与の課税がなされるおそれがあります。
無用な課税を回避するためにも、信託契約作成時点でしっかり帰属先を決めておくことが重要です。
帰属権利者に残余財産を分配し、清算報告書を関係者に示すまでが受託者(清算受託者)としての職務です。
清算報告書を作成する過程では、契約書に定めていた通りの財産を帰属権利者が受けとったこと等について、各帰属権利者から署名または押印を得る形での確認が必要です。これにより、その後のご家族間のトラブルを防ぐことができます。
ごく稀に清算報告書の作成を省略してしまうケースもありますが、いつの時点で完全に信託が終了したのかを明確にし、その後のご家族間のトラブルを生じさせないようにするためにも、清算報告書を作成することを推奨しております。
不動産を放置することで、不動産価値の低下につながることがあります。また、固定資産税の支払いが継続するだけでなく、維持管理のための定期的な訪問など、そのままの状態を保つのにもコストや労力がかかります。
売却することを決めてから実際に売却手続が完了するまでの期間は、一般的に3〜6か月程度が目安とされています。好条件で売却をしたいとお考えの場合はさらに期間が延びるため、その期間も考慮に入れる必要があります。
なお、空き巣は「心理的瑕疵」に該当する可能性があります。侵入の手口が凶悪だったり、過去に複数回被害があった場合は、不動産価格にも大きく影響する可能性があります。
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