家族信託の不動産を売却する方法とは?メリットやデメリット、手続きを解説

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家族信託で不動産を管理・運用している場合、「売却したい」と考える場面は少なくありません。しかし通常の不動産売買と異なり、信託特有のルールや手続きが存在します。

本記事では、家族信託された不動産を売却する方法や流れ、注意点をわかりやすく解説します。さらに、信託を利用して不動産を管理するメリット・デメリットも整理し、実際に売却を検討する際の判断材料として役立つ情報をお届けします。

家族信託における不動産売買のポイントをまとめましたので、ぜひ参考にしてください。

目次

家族信託を利用して不動産を管理するメリット

家族信託を活用することで、不動産の管理・運用に柔軟性と安心感を持たせることができます。ここでは、その代表的なメリットを2つ紹介します。

メリット①認知症対策として資産凍結を防げる

家族信託を使えば、委託者が認知症を発症した後も、不動産の管理や売却を受託者が継続して行うことができます。通常、認知症になると本人の意思能力が失われ、不動産の処分ができなくなりますが、信託契約で処分権限を受託者に与えておけば、資産凍結を回避できます。

たとえば、高齢の親が所有するアパートや土地を信託しておけば、子が受託者となって管理・売却でき、急な医療費や介護費用の捻出にも対応可能です。これは成年後見制度では難しい柔軟な対応ができる点で、大きな利点といえます。

メリット②相続対策として資産の承継がスムーズに進む

家族信託を利用すれば、不動産の名義変更手続きが不要になるため、相続時のトラブルや手続きの煩雑さを大幅に軽減できます。信託契約内で、第一次受益者(たとえば配偶者)から第二次受益者(たとえば子ども)へと承継先をあらかじめ指定しておくことが可能です。

これにより、遺産分割協議を経ずに資産をスムーズに引き継げるうえ、長期的な不動産活用や処分計画も柔軟に設計できます。複数の相続人がいる場合でも、不動産を巡る争いを予防し、家族間の関係を円満に保つ仕組みとしても有効です。

家族信託した不動産は受託者の権限で売買できる

不動産売買契約書

家族信託で信託財産に含めた不動産は、受託者の権限で売却できます。
家族信託では、不動産処分の裁量を受託者に与えられるためです。

父親の所有不動産Aの処分権限を受託者である息子が与えられていた場合、息子は自身の裁量で不動産を売却できます。

受託者の処分権限は、委託者の意思能力に左右されません。父親が認知症になった後でも、息子の判断のみで不動産を売却できます。

親の意思能力にかかわらず不動産を売却できるため、家族信託は認知症対策に役立つのです。

なお、受託者に不動産売却の権限を与えるには、信託契約書に明記が必要です。

家族信託を利用して不動産を管理するデメリット

家族信託は便利な制度ですが、制度の仕組みや運用には注意が必要です。ここでは、特に不動産管理において想定される主なデメリットを3つご紹介します。

デメリット①信託契約書の設計ミスで売却ができなくなる恐れ

家族信託では、受託者に明確な「処分権限(売却権限)」が契約書で付与されていない場合、不動産を売却できません。これは非常に多い実務上のトラブルで、「売るつもりだったが、契約上その権限がなかった」というケースが実際に発生しています。
特に、契約書作成時に専門家の確認がなかった場合や、ひな型を自己流にアレンジした場合に起こりやすく、契約の変更には委託者・受託者・受益者全員の合意が必要となるため、手間と時間がかかります。
信託契約の内容次第で不動産の活用に制限が生じるため、設計段階での注意が必要です。

デメリット②信託登記や売却手続きが煩雑になる

不動産を家族信託に組み入れる際には、「信託登記」が必要となり、売却時にも「信託の登記抹消」など通常とは異なる登記手続きが発生します。また、買主にとっても「信託不動産の売買」という特殊な取引に不安を感じる場合があり、説明や対応に手間がかかることもあります。

さらに、司法書士や登記費用などのコストが追加で発生するため、通常の不動産売買よりも事務処理が複雑で時間を要する点も否めません。スムーズな売却を実現するためには、家族信託に詳しい専門家の関与が不可欠です。

デメリット③信託終了後の対応や名義回復の手続きが必要

家族信託が終了した際(受益者の死亡や目的の達成時など)、信託不動産は「帰属権利者」へ移転されますが、その際には不動産の名義回復登記(所有権移転)が必要となります。この名義回復には別途手数料や登記費用がかかり、相続税

申告・納税も絡んでくるケースがあります。
また、信託契約の終了により受託者の管理責任がなくなるタイミングで、トラブル防止のための事後処理(帳簿の保存、最終報告など)も重要になります。信託終了後も一定の対応が必要であることを理解しておく必要があります。

家族信託した不動産が売却できる条件

抵当権設定契約証書

家族信託で、受託者の不動産が認められる条件を解説します。

信託財産に不動産を含めたからといって、必ず売却できるわけではありません。売却には一定の条件を満たす必要があります。

信託契約に売却の権利が設定されていること

受託者による不動産売却は、信託契約書で処分の権限が設定されていることが条件です。
契約内容に、不動産処分の権限が盛り込まれていなければ、不動産売買の根拠を欠くためです。

実際、処分の権限まで与えず、管理権限のみを与える家族信託もあります。
賃料回収や修繕業務など、収益不動産の管理を任せたいけれども、売却の裁量までは与えたくない場合もあるでしょう。
管理のみ任せる場合、信託契約で処分権限を設定しないのが通常です。

また、信託契約の内容は、不動産登記簿中の「信託目録」に反映されている必要があります。権利そのものは目に見えないため、登記による権利の明確化が求められます。

受託者の立場で不動産売却に着手する方は、信託契約書と不動産登記簿を確認しましょう。

不動産に抵当権が設定されていないこと

不動産売却の際は、抵当権の存在に注意しましょう。
抵当権付きの不動産は、事実上、売却ができません。

法律上、売買契約は意思表示のみで成立します。抵当権の存在にかかわらず、売買契約は有効です。
しかし、現実問題として抵当権付きの不動産を購入する方はいません。不動産に抵当権が付いている以上、競売にかけられるリスクがつきまとうためです。

また、融資の都合もあります。買主がローンを組んで不動産を購入する場合、購入不動産に抵当権が付いていないことが、融資の条件となります。

買主にとって抵当権付きの不動産は、購入の対象から外れるのが通常です。
受託者の立場で不動産を売却する場合も、同じ理屈が当てはまります。

買主の都合上、不動産売却の際は、抵当権未設定の事実の確認が必要です。抵当権の設定状況は、不動産登記簿で明らかになります。

抵当権が設定されている場合は、抵当権の抹消が必要です。

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家族信託した不動産の売却方法は2種類ある

売却

家族信託後でも、不動産の売却は可能です。
ここでは、信託財産に含めた不動産の売却方法を確認します。

物件そのものを売却する方法

家族信託においても、不動産仲介業者などを通じた売却が可能です。

信託財産といえども、基本的には通常の不動産売買と同じ流れで売却できます。
通常の売却と異なるのが売主の主体です。信託不動産の売却では、不動産所有者本人(委託者)ではなく受託者が売主です。

受託者に不動産売却の権限が与えられている限り、受託者は売主として信託不動産を売却できます。
なお、受託者による不動産売却は、処分権限の付与が前提です。

信託契約で受託者に不動産の処分権限が付与されていない場合、そのままでは不動産の売却はできません。
信託契約の内容変更、あるいは信託契約の終了が必要です。

不動産に関する受益権を売却する方法

信託受益権売却によっても、不動産売買と同様の結果を得られます。
信託受益権とは、受益者の立場で信託財産が生む利益を得られる権利です。

不動産の場合、賃料収入を得られる権利が信託受益権の一例といえます。
信託受益権は売買の対象となり、売却後は受益権者が交代します。

不動産オーナーA(委託者&受益者)が息子の乙を受託者として、乙に不動産の管理を任せていたとしましょう。

Aは不動産の信託受益権を第三者であるBに売却でき、Bへの売却後、受益者の地位は購入者Bに移転します。

信託受益権の売却後も信託契約は継続します。しかし、信託契約の継続を望まないケースもあるでしょう。
信託契約の継続を望まない場合は、委託者と受益者との合意により、信託受益権の売却と同時に信託契約の終了が可能です。

信託契約の終了後、信託受益権購入者は受託者から不動産の返還を受けます。
信託受益権の売買と信託契約の終了が実行された時点で、形式的にも実質的にも不動産の所有は受益権購入者へと移転し、不動産売却と同様の結果になります。

信託受益権の売買でも、不動産売却と同様の結果を得られる点を覚えておきましょう。

家族信託した不動産を売却する際の流れ

信託された不動産を売却するには、通常の不動産売買とは異なる独自の手続きが必要です。ここでは、信託不動産の売却手順を5つの工程に分けて詳しく解説します。

手順①信託契約書の内容確認:処分権限の有無を確認する

まず最初に確認すべきは、信託契約書の中に「不動産を売却する処分権限」が受託者に付与されているかどうかです。契約書に明記されていなければ、受託者は不動産を勝手に売却することができません。

処分権限が記載されていない場合は、信託契約の変更(委託者・受託者・受益者全員の合意)が必要となります。
また、受益者が成年被後見人などの場合、変更手続きがさらに複雑になることもあるため、売却前の初動として契約書の内容精査が極めて重要です。信託契約書のコピーを準備し、専門家の確認を受けましょう。

手順②信託不動産の売却に対応できる不動産会社を選ぶ

信託不動産の売却は、通常の不動産売買とは異なる点が多いため、信託に関する取引経験がある不動産会社を選定することが望ましいです。

たとえば、売買契約書に「売主:◯◯信託受託者 △△」といった記載が必要になり、買主への説明責任も増します。不慣れな業者だと、取引がスムーズに進まず、トラブルになる可能性もあります。
信託内容に応じた適切な価格設定や売却戦略も必要になるため、家族信託に精通した不動産業者や司法書士と連携することが成功のカギです。

手順③売買契約の締結:受託者が売主となる契約の実行

買主が見つかれば、売買契約の締結に進みます。この際、契約書上の「売主」は受託者個人ではなく、“信託受託者◯◯”名義で契約を締結する必要があります。

また、信託不動産の売却であることを契約書に明示し、代金の受け取り先も信託口口座とすることで、信託財産であることの証明と分別管理が保たれます。
契約締結時には、契約書、登記事項証明書、身分証明書、信託契約書の写しなども必要になるため、事前に必要書類を整理しておくことが重要です。

手順④信託登記の抹消:売却に伴う登記手続きの実行

不動産を売却すると所有権が買主に移転するため、信託登記も不要となります。そこで必要なのが「信託登記の抹消」手続きです。

抹消には、信託契約書、登記識別情報、受託者の印鑑証明書などが必要となり、司法書士を通じて法務局に申請します。抹消登記をしないと、登記上に「信託財産」と記録されたままの状態になり、買主側に不信感を与えることもあります。
また、売買による所有権移転登記と信託抹消登記は同時に進めることが一般的です。信託に詳しい登記専門家の関与が不可欠であり、手続きの段取りをきちんと把握することが成功のポイントとなります。

手順⑤売却代金の管理と報告:受益者の利益を守る運用を徹底

不動産売却で得た代金は、信託財産として受託者が信託口座で適切に管理する必要があります。ここで重要なのが、「受託者が自己の財産と混同せず、受益者のために誠実に使う」という信託の基本原則です。

たとえば、売却代金を生活費や医療費に充てる場合も、その使用目的や支出履歴を帳簿に記録し、定期的に受益者や関係者に報告する義務があります。

また、使途が不明確なまま支出すると後々トラブルになる可能性もあるため、信託帳簿や財産目録の整備も欠かせません。売却後こそ、信託の透明性と信頼性が問われるフェーズとなります。

家族信託した不動産を売却するときのポイント3つ

ポイント

家族信託で、信託不動産を売却する際のポイントを3つ紹介します。

家族信託における不動産売却の流れは、通常の不動産売買と同じです。
しかし、信託登記の抹消や、譲渡所得の課税先など、注意すべき点がいくつか存在します。

売却後は信託登記の抹消が必要

信託財産に組み入れた不動産を売却した際、信託登記の抹消を怠らないようにしましょう。

通常の不動産売却では、所有権移転の事実のみ登記に反映させます。
しかし、信託不動産は所有権移転のみでは足りません。

所有権移転と同時に、信託登記の抹消も合わせて申請します。
所有権移転登記のみだと信託登記が残り、事実と異なる権利関係が登記されるためです。

登記申請書に記載する登記の目的は「所有権移転及び信託登記抹消」です。
所有権移転登記と信託登記の抹消の双方を実行することで、不動産は通常の状態に戻ります。

信託登記は自動的に抹消されないため注意が必要です。
なお、不動産そのものの売買と不動産信託受益権の売買は売却の流れが異なり、区別が必要です。

信託受益権の売買では、必ずしも信託登記の抹消は求められません。

譲渡所得による所得税は受益者に課税される

不動産売却では、売却益は譲渡所得として所得税が課されます。
信託不動産であっても、売却益を得た以上、課税されます。

課税対象者は、受益者です。利益を得た者にこそ課税すべきと考えられるためです。
父親(委託者&受益者)が息子(受託者)に財産管理を任せる家族信託では、父親に課税されます。

不動産の売却代金は信託財産に組み込まれます。受託者である息子の資産になるわけではありません。
売却代金は、父親の資産になります。父親の資産が増える以上、父親への課税が自然といえます。

不動産売却で生じた売却益は、受託者ではなく受益者に課税される点に注意してください。

売却益はそのまま信託財産に組み込まれる

不動産売却で得た金銭は、信託財産に組み込まれます。

受託者に処分権限が与えられ受託者を売主とする不動産売買でも、売却代金は信託財産に組み込まれます。
信託財産に組み込まれた売却代金は、受託者が管理・運用しますが、受託者固有の財産とはなりません。

息子(受託者)が父親(委託者&受益者)の不動産を売却した場合、売却代金は父親の資産です。息子は受託者の責任で、売却代金を管理・運用を継続するだけです。

なお、売却益の課税対象は受益者である父親です。受託者である息子は、売却益については固有の財産にならないため課税されることはありません。

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家族信託の信託財産で不動産を購入できる条件

条件

家族信託における、不動産購入の条件を解説します。
受託者が信託財産を用いて不動産を購入する際は、いくつかの条件を満たす必要があります。

信託契約に購入の権利が設定されていること

信託財産で不動産購入をするには、信託契約書中での定めが必要です。

家族信託では、原則として契約書に記載のない行為は認められません。
受託者が信託財産で不動産を購入するには、信託契約で不動産購入の権限が与えられている必要があります。

家族信託において不動産売買を実行する場合は、信託契約書のチェックを怠らないようにしましょう。

受託者判断の不動産購入は契約書中に記載があることが前提です。
契約書での取り決めを前提に、不動産を購入できるだけの原資が信託財産にあるかを別に検討する必要があります。

信託財産に原資となる金銭があること

不動産を購入できるだけの資金が、信託財産に残されている必要があります。

不動産購入の権限が受託者に与えられていても、購入できるだけの原資が信託財産に存在するとは限りません。
受託者が扱える金銭が、購入に必要な資金に届かなければ、不動産の購入は実現不能です。

購入資金が不足する場合、追加信託で対応できます。
追加信託とは、家族信託の設計後に信託財産を追加する行為です。

目的不動産の購入にあたって1,000万円不足する場合、不足分1,000万円の追加信託で受託者は不動産を購入できます。

ただし、追加信託には契約書での取り決めが必要です。信託契約書に金銭の追加信託を認める記載がなければ追加信託はできません。

購入原資が不足する場合、追加信託のほか金融機関からの借り入れでも対応できます。
しかし、追加信託と同じく、受託者の判断で融資を受けるには、信託契約書中での記載が条件です。

家族信託で不動産購入を検討する場合は、契約書の記載と購入原資の2点を確認しましょう。

家族信託の信託財産で不動産を購入するときのポイント2つ

東京法務局

家族信託の信託財産で不動産を購入するときの、ポイントを2つ紹介します。

家族信託における不動産購入は、通常の不動産購入と同じ流れです。
しかし、信託財産である旨を示す必要性から、通常の不動産売買と異なる部分があります。

信託財産の処分による信託の登記を行う

信託財産で不動産購入をした場合、購入の事実を不動産登記に反映させましょう。

信託財産を用いた場合の不動産購入は、通常の不動産登記とは異なるため注意が必要です。
通常、不動産売買の登記は所有権移転登記のみで完了します。

売主A、買主Bの間で不動産売買があった場合、売主Aを義務者、買主Bを権利者として所有権移転登記をします。
しかし、家族信託で受託者が不動産を購入した場合、所有権移転登記のみでは足りません。

所有権移転登記と合わせて「信託財産の処分による信託」の登記も必要です。
信託財産の処分による信託の登記も申請して、購入した不動産が信託財産である旨を公示します。

所有権移転登記のみでは、受託者自身が所有する不動産と判別できないためです。

家族信託において、受託者が不動産を購入した場合「所有権移転」の登記及び「信託財産の処分による信託」の登記を入れるようにしましょう。

不動産取得税・固定資産税は受託者に課税される

信託財産で不動産を購入した受託者には、不動産所得税及び固定資産税が課税されます。
形式的とはいえ、不動産を購入した受託者は不動産の所有者です。

不動産所有者であるため、家族信託の受託者は不動産取得税及び固定資産税を納める必要があります。

しかし、受託者は形式的な所有者にすぎず、実質的な所有者は委託者です。
また、信託不動産が生む利益を得るのは受益者です。受託者は不動産利益を得られる立場にありません。

そのため、受託者は、信託財産の中から不動産取得税及び固定資産税を支払うのが一般的です。

家族信託の不動産売買に関するよくある質問

よくある質問

家族信託の不動産売買に関して、よくある質問に回答します。

家族信託契約に不動産売買の取り決めがありません。売買をする方法はありますか?

家族信託契約書に不動産売買の取り決めがない場合、次の方法が考えられます。

  • 信託契約内容の変更
  • 家族信託契約の合意による終了

契約内容を変更し、不動産売買の取り決めを追加すれば、受託者による不動産売買が可能になります。

受託者主導で不動産売買を実現させたい場合は、契約内容の変更がおすすめです。
契約内容変更の他に、委託者と受益者との合意による終了で家族信託契約そのものを終了させる方法もあります。

合意による終了で家族信託は終了し、家族信託前の状況に不動産は戻ります。
不動産を元の状態に戻した後は、不動産所有者(家族信託時の委託者)自らの判断で、不動産売買が可能です。

注意すべき点は、契約当事者の意思能力です。
契約内容の変更であれ、契約の合意による終了であれ、当事者の意思能力が前提となります。
すでに委託者が認知症などにより判断能力を失っている場合、契約内容の変更も契約の合意による終了もできません。

契約内容の変更と契約の合意による終了、いずれかが達成できない場合、家族信託契約の終了を待つほかないでしょう。

信託受益権の売買は不動産会社に依頼すればよいのですか?

信託受益権の売買も不動産会社に依頼できます。
ただし、物件そのものの売買と異なり、信託受益権の売買を取り扱うには、宅地建物取引業の許可では足りません。

「第2種金融商品取引業の登録」を済ませた不動産会社に依頼する必要があります。
信託受益権は、みなし有価証券として扱われるためです。

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ファミトラ(家族信託)のサービスを利用して自宅を売却した事例

ファミトラの家族信託サービスをご利用いただき、自宅を売却したお客様の一部事例です。

自宅を売却する以外にも、父親が保有する賃貸物件を補修できるように将来設計として利用されている事例もあります。

まとめ:家族信託での不動産売買は信託契約に詳細な権限を盛り込んでおくことが大切

まとめ

家族信託を活用した不動産の売却は、柔軟で合理的な手法である一方、契約内容や実務運用に細心の注意が必要です。特に、「受託者に売却権限が明記されているか」「信託登記の処理が適切か」「売却代金の管理が明確か」といった点は、トラブルを未然に防ぐために不可欠です。

信託契約書の設計段階から実際の売却手続き、そして事後の管理に至るまで、信託に詳しい専門家のサポートを受けながら進めることで、安心で安全な不動産取引が実現します。

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この記事を書いた人

田中総 田中総 家族信託コーディネーター®エキスパート 宅地建物取引士

東証一部上場の企業で10年以上に渡り法人営業・財務・経営企画等の様々な業務に従事。司法書士資格を取得する中で家族信託の将来性を感じ、2021年6月ファミトラに入社。お客様からの相談対応や家族信託の組成支援の他、信託監督人として契約後の信託財産管理のサポートを担当。
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