認知症保険は必要? メリット・デメリットをふまえて判断しよう

認知症保険は必要? メリット・デメリットをふまえて判断しよう

高齢化社会では、認知症は誰もが備えておかなければならない重大な病気です。現在では、認知症に備えるための認知症保険が広がりを見せています。しかし、認知症保険は歴史の浅い保険であるため、存在すら知らないという方もいらっしゃるでしょう。

この記事では、認知症保険とは何かについて役割や特徴を解説したうえで、加入するメリットやデメリットなども解説します。認知症保険について詳しく知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

目次

認知症保険とは? 役割や特徴をわかりやすく解説

認知症保険とは? 役割や特徴をわかりやすく解説

認知症保険は、認知症になった場合に備えて加入する保険です。認知症保険には、他の介護保険にはない様々な特徴があります。

ここでは、認知症保険の役割や特徴を具体的に解説します。

認知症になった際に保険金や給付金を受け取れる保険

認知症保険は、その名のとおり認知症となった場合に、保険金や給付金を受け取れる保険です。何をもって認知症と判断するのかなど、保険金の支払条件は保険会社によって異なります。

認知症になると、介護のために高額の費用が必要です。また、認知症が原因で第三者に損害を与えてしまうことも考えられます。

認知症保険は、認知症を原因とする出費に備えるための保険です。

認知症保険の特徴

認知症保険は歴史の浅い保険であり、加入条件や保険金の支払条件も保険会社によって様々です。そのため、認知症保険の特徴といっても、全ての認知症保険に当てはまるものではありません。

ここでは、多くの認知症保険に共通する特徴について解説します。

保険金や給付金は「現金」で支給される

認知症保険では、認知症と診断されると、保険金や給付金などを現金で受け取ることができます。

公的な介護保険や医療保険では、介護サービスや治療などを受けることはできますが、現金の給付はありません。認知症となると、介護保険や医療保険ではカバーできない費用負担も発生します。

認知症保険と公的な保険を併用することで、介護サービスや治療を受けられるだけでなく、日常生活や介護で発生する費用について準備することができます。

保険金の支払基準が多様

認知症保険は、保険金の支払基準が統一されておらず、保険会社によって支払基準は様々です。支払基準を大まかに分類すると次の3つに分けられます。

  • 非連動型
  • 連動型
  • 一部連動型

非連動型は、保険会社が独自の支払基準を設定している保険のことです。一方、連動型は、公的介護保険の認定基準に従って支払基準を設定している保険のことです。

公的介護保険では、被保険者の症状によって、要支援1・2、要介護1〜5の7段階で等級認定をしています。連動型保険は、要介護1以上と認定されれば保険金を支払うなど、公的機関による認定に合わせて保険金を支払います。

一部連動型は、公的介護保険の認定基準と保険金の支払基準を連動させながら、それに加えて保険会社独自の支払基準を設定する保険です。

つまり、支払基準は保険会社によって厳しいものや、緩やかなものがあります。保険料や保険金の額なども比較考慮しつつ、どの保険に加入するのかを検討する必要があります。

指定代理請求制度を利用できる

指定代理請求制度とは、あらかじめ被保険者が指定した代理人が保険金の請求を行える制度のことです。被保険者が認知症となった場合には、被保険者が自ら保険金を請求するのは難しいでしょう。

そのため、認知症保険では指定代理請求制度を活用し、あらかじめ保険金請求の代理人を決めておくことで、問題なく保険金請求ができるようにしています。

なお、指定代理人が被保険者と同居していない場合などは、保険金請求が必要なときに請求ができるように、指定代理人とスムーズに連絡が取れるようにしておきましょう。家族間で誰が指定代理人であるのかを共有しておくことが重要です。

認知症保険は必要? 日本の高齢者の加入率もチェック

認知症保険は必要? 日本の高齢者の加入率もチェック

日本では少子高齢化が進んでおり、人口に占める高齢者の割合は増加を続けています。平均寿命も伸びているため、「高齢者」として過ごす期間も短いものではありません。

厚生労働省の統計によると、2020年の時点では65歳以上の高齢者のうち、約600万人が認知症となっています。さらに、2025年になると、認知症患者の数は約700万人にまで増加し、65歳以上の高齢者のうち5人に1人が認知症になると予測されています。

認知症は、高齢者であれば誰の身にでも起こりうる重大な問題であると言えます。自分は大丈夫と考えるのは危険で、誰にとっても認知症に対する備えは必要です。

公益財団法人生命保険文化センターによる2021年度「生命保険に関する全国実態調査」によると、認知症保険の加入率は6.6%となっています。一般的な医療保険の加入率が93.6%であることからすると、かなり低い数字と言えるでしょう。

認知症保険の加入率が低い理由としては、認知症保険が歴史の浅い保険で一般的な認知度も低いことが挙げられます。今後、高齢化がますます進み認知症患者の数も増えてくると、認知症保険の加入率も上昇する可能性は高いでしょう。

認知症保険のメリット・デメリットは?

認知症保険のメリット・デメリットは?

ここでは、認知症保険の役割や特徴を踏まえたうえで、より具体的なメリットやデメリットを解説します。

認知症保険の加入を検討するには、メリットとデメリットの両方を知ったうえで行いましょう。

認知症保険に加入するメリット

認知症保険に加入するメリットとしては、次の3点が挙げられます。

  • 若いうちから老後の不安に備えられる
  • 年齢の幅が広く加入ハードルが低い
  • 認知症以外の病気も対象となるものもある

以下では、それぞれのメリットを具体的に解説します。

若いうちから老後の不安に備えられる

認知症保険は、若いうちから加入できる商品も多いです。若いうちから認知症保険に加入することで、月々の保険料を抑えつつ老後の不安に備えることができます。

少子高齢化の進行により、老後の不安を抱えている方も多いでしょう。認知症は老後の不安のなかでも大きなリスクであるため、若いうちから備えることができるのは認知症保険のメリットと言えるでしょう。

年齢の幅が広く加入ハードルが低い

認知症保険に加入できる年齢は、保険会社の商品によって様々です。年齢の低いものでは15歳から、高いものでは85歳でも加入できる保険があります。

早いうちから保険に加入すると、月々の保険料は安くなります。認知症の危険を身近に感じ始めてから加入することもできるため、ニーズに合わせたタイミングで保険に加入できます。

認知症以外の病気も対象となるものもある

認知症保険という名称の商品であっても、認知症以外の病気も保険金の支払対象となる商品も多くあります。ガンや糖尿病から骨折に至るまで、様々な病気やケガに対応した保険に加入することで、認知症以外のリスクにも備えることができます。

認知症保険に加入するデメリット

認知症保険に加入するデメリットとしては、次の3点が挙げられます。

  • 認知症と診断されてすぐにお金を受け取れるわけではない
  • 給付対象となる認知症には限りがある
  • ほとんどの認知症保険が掛け捨て型

以下では、それぞれのデメリットについて具体的に解説します。

認知症と診断されてすぐにお金を受け取れるわけではない

認知症保険での保険金支払基準は、保険会社や商品によって様々です。多くの認知症保険では、認知症と診断されても、すぐには保険金を受け取ることができません。

たとえば、公的介護保険と連動型の認知症保険では、医師に認知症と診断されても、介護認定を受けるまでは保険金を受け取ることができません。他には、医師による認知症の診断を受けてから、その状態が一定期間継続することを支払条件とする商品もあります。このような場合にも、期間の経過を待つ必要があります。

給付対象となる認知症には限りがある

認知症には様々な原因や症状があります。認知症保険は、全ての認知症を給付対象としているわけではありません。

たとえば、アルコール依存などを原因として認知症を発症するケースは珍しいことではありませんが、アルコールを原因とする認知症は給付対象から外している商品も多いです。

保険を選ぶ際には、どの範囲での認知症が給付対象となるのかを十分に確認しておく必要があるでしょう。

ほとんどの認知症保険が掛け捨て型

認知症保険のほとんどは掛け捨て型です。契約の途中で解約することになっても、解約返戻金はありません。

若いうちから認知症保険に加入する場合には、認知症が発症する恐れのある年齢まで保険金の支払いを続けられるのかを十分に検討する必要があります。

自分に合った認知症保険はどう選ぶべき?

自分に合った認知症保険はどう選ぶべき?

これまでにも説明したとおり、認知症保険には様々な商品があります。その中から自分に合った保険を選ぶのは簡単ではありません。

ここでは、自分に合った認知症保険を選ぶためのポイントを5つ解説します。

加入できる条件や年齢で選ぶ

認知症保険は、商品によって持病の有無や年齢での加入条件が異なります。

持病があると加入できないものや保険料が高くなるものもあるため、健康状態によっては加入できる商品が絞られてしまいます。また、年齢が若いうちから加入すると保険金額が安くなるものや、高齢であっても加入できる保険など、年齢によっても選ぶべき商品は変わるでしょう。

認知症の重症度などの支給される条件で選ぶ

認知症保険は、商品によって支払基準が様々です。認知症の程度が重度のものでなければ保険金が支給されないものもあれば、比較的軽度の認知症でも保険金が支給されるものもあります。

「重度の場合だけで良いので、しっかりとした金額を受け取りたい」「金額は少なくても良いので、軽度の認知症でも保険金を受け取れるようにしたい」など、ご自身に合ったニーズの保険を選ぶようにしましょう。

「一時金」「年金」などの保険金の受け取り方で選ぶ

保険金の受け取り方としては、まとまった金額を一度に受け取る「一時金」形式や、月払いなどの分割で受け取る「年金」形式があります。

認知症となった場合に、保険金を介護施設などへの初期費用に充てたいのであれば、「一時金」形式。月々の生活費や入居費用などに充てたいのであれば「年金」形式。というように、保険金の利用目的に合わせて受け取り方を選ぶようにしましょう。

認知症以外の病気も対象かどうかで選ぶ

認知症保険では、認知症以外の病気に対応しているものもあります。

認知症以外の病気について、他に加入している保険で対応できる場合には、認知症保険で対応する必要はないでしょう。そうでない場合には、認知症以外にも対応した保険を選ぶのも選択肢の1つです。

内容と料金のバランスで選ぶ

保険を選ぶのに最も重視されるのは、内容と料金のバランスです。

必要な限度の保障を受けることができ、できる限り安い料金で加入できる保険を選ぶようにしましょう。

過度な保障を受けるために高額の保険に加入する必要はありません。また、保険料の安さのみを重視して、いざというときに必要な保障を受けられなければ意味がありません。

認知症保険に加入したら家族や親族に伝えることが重要

認知症保険に加入したら家族や親族に伝えることが重要

認知症保険に加入したら、家族や親族に保険内容などを伝えておくことが重要です。この際、保険請求が必要となったときに指定代理請求制度を活用できるよう、指定代理人についても家族内で共有しておくようにしましょう。

認知症保険は、被保険者が認知症となった場合に保険金請求を行う保険のため、被保険者が保険金請求をできる状態ではないことも多いです。家族が認知症保険の存在を知らなければ、せっかく保険に加入していても、請求しないままになってしまう可能性もあります。

請求漏れを起こさないためにも、認知症保険に加入したことは、家族内で確実に共有しておくことが重要です。

認知症保険についてよくある質問

認知症保険についてよくある質問

ここでは、認知症保険についてよくある質問に回答します。

認知症保険は介護保険とはどう違う?

認知症保険と公的介護保険との大きな違いは、保障に対して提供されるのが現金なのか、介護サービスなのかという点です。

連動型の認知症保険を除くと、支払条件も公的介護保険とは異なります。公的介護保険は、公的な機関での等級認定に従いサービスが提供されますが、認知症保険では商品によって様々な支払基準が設定されています。

なお、民間の介護保険の場合には、認知症保険と同じく保険で支払われるのは現金です。支払条件は、基本的に介護保険と連動しており、一定の等級認定を受けたことを条件に保険金が支払われます。

認知症保険に入るべき人はどんな人?

認知症は誰の身にも起こり得ることで、高齢者への備えは誰もがしなくてはならないでしょう。

認知症保険に入るべき人は、公的介護保険や民間の介護保険などの保障では不十分なので、より手厚い保障を受けたいと考える人。万が一の場合に介護サービスではなく、現金を受け取ることで認知症に備えたいと考える人。などが挙げられるでしょう。

まとめ:認知症保険は自分に必要かを見極めるのが大切

まとめ:認知症保険は自分に必要かを見極めるのが大切

認知症保険は歴史も浅く活用事例もまだ少ないです。しかし、認知症患者は増加を続けており、認知症への対策は誰もが気になるところでしょう。

認知症保険は、認知症対策として有効なものですが、誰もが加入すべきものではありません。加入を検討するのであれば、自分に必要なものかを十分に見極めることが大切です。

認知症対策としては、家族信託など他の方法も考えられます。保険だけでなく、他の制度なども検討したうえで、保険が必要か否かを考えてみるようにしてください。


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家族信託に限らず、本記事で解説したような認知症保険を活用した事例など、お客様のご状況に合わせて最適な方法を幅広くご提案・サポートいたしますので、家族信託に興味がある方は、ファミトラまでぜひご相談ください。

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この記事を書いた人

小牟田尚子 小牟田尚子 家族信託コーディネーター®

化粧品メーカーにて代理店営業、CS、チーフを担当。
教育福祉系ベンチャーにて社長室広報、マネージャーとして障害者就労移行支援事業、発達障がい児の学習塾の開発、教育福祉の関係機関連携に従事。
その後、独立し、5年間美容サロン経営に従事、埼玉県にて3店舗を展開。
7年間母親と二人で重度認知症の祖母を自宅介護した経験と、障害者福祉、発達障がい児の教育事業の経験から、 様々な制度の比較をお手伝いし、ご家族の安心な老後を支える家族信託コーディネーターとして邁進。

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