国民年金で入れる老人ホームはある?施設の種類や資金不足の対処法

国民年金で入れる老人ホームはある?
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国民年金で入れる老人ホーム施設についてまとめました。国民年金以外の収入が期待できない方は、介護施設の利用について不安を感じるかもしれません。

しかし、入居一時金が不要の介護施設もあります。また、国の補助制度を利用すれば、月額の施設費用もおさえられます。

潤沢な資金の準備がなく、自身の老人ホームの入居資金に心もとなさを感じる方は、こちらの記事を参考にしてください。

目次

国民年金の受給額は平均で5万円台

お金

国民年金の受給額は平均で5万円台です。厚生労働省のデータ(平成28年度)によると、国民年金の平均受給月額は、5万5,373円となっています。

参照:平成28年度厚生年金保険・国民年金事業の概況「厚生労働省厚生年金保険(第1号)

男女別にみると、男性の平均は58,806円、女性の平均は52,708円です。平均は5万円台ですが、6万円台の受給者が人数としては最も多いです。

それゆえ、国民年金で入所可能な老人ホームを探す際は、月額5〜6万円を目安に考える必要があります。

公的老人ホームなら国民年金で入れる可能性がある

介助士

公的老人ホームなら、国民年金で入れる可能性があります。
国民年金の平均受給月額は5〜6万円ですが、公的施設なら、月額費用が6万円台でも入所可能な施設があるからです。

しかし、公的施設には入所条件が設けられており、施設の種類によって、条件内容が異なります。公的施設利用の際は、入所条件の確認が必須です。

特別養護老人ホーム(特養)

特別養護老人ホーム(特養)とは、在宅での生活が困難な方に向けた介護保険施設です。
特別養護老人ホームは、公的介護施設で入居費用が安いのが特徴です。

特別養護老人ホームであれば、国民年金で費用をまかなうことも可能といえるでしょう。

ただし、特別養護老人ホームには、厳しめの入居条件が設定されており、誰もが入居できるわけではありません。人気があり、地域によっては、条件を満たしても入居できない可能性があります。

入居条件

特別養護老人ホームの入居条件は、次のとおりです。

  • 65歳以上要介護3以上
  • 40~64歳特定疾病による認定要介護3以上
  • 特例適用要介護1~2

入居条件を満たすには、上記のいずれかを満たす必要があります。

原則として要介護3以上の方が対象ですが、特例に該当する場合は要介護1〜2の方でも入居が認められます。
要介護1〜2の方であっても、在宅介護が困難と思われる合理的な理由がある場合は、入所を希望してみても良いでしょう。

入居の可否は、定期的に行われる入居を判定する委員会で審査されます。
入居は先着順で決まるわけではありません。緊急度合いや個々の状況を加味し、総合的に判断されます。

必要な費用の目安

入居一時金は0円です。月額費用の相場は、9〜15万円です。

月額費用は、部屋のタイプやサービス内容によって大きく異なります。
多床室タイプは4.4〜12万円、ユニット型は毎月6.8〜15万円が費用の目安です。

費用を安くしたい方は、安価な部屋のタイプを選びましょう。

安価な部屋を選んでも、なお支払いが厳しそうな場合は、減免制度を利用するのも1つです。
特別養護老人ホームでは減免制度も用意されており、国民年金で費用をまかないたい方はよく確認しておきましょう。

軽費老人ホーム

軽費老人ホームは、住宅や家族等の事情により、自宅での生活が難しい場合に利用される入居施設です。

軽費老人ホームはある程度、健康状態が良好な方に向けられた施設です。
身の回りのことを自分でできたり、他者との共同生活が問題なくできる方が対象となります。

軽費老人ホームでは食事の提供がされたり、生活支援のサービスが実施されたりします。
軽費老人ホームは、A型、B型、C型(ケアハウス)に分類され、タイプごとにサービス内容が異なります。

入居条件

軽費老人ホームの入居条件は、次のとおりです。

  • 60歳以上
  • 1人での生活が困難
  • 家族の援助が期待できない

入居を希望する際は、上記の要件を満たす必要があります。

入居可能な年齢は60歳以上です。ただし2人で入居する場合は、2人のうち1人が年齢要件を満たせば足ります。
例えば夫婦で入居する場合、夫婦のうち1人が60歳以上であれば、年齢要件を満たします。

必要な費用の目安

軽費老人ホームでかかる費用は、タイプ(A~C)によって異なります。

A型、B型は入居一時金がかかりません。しかし、C型(ケアハウス)に限っては、入居一時金がかかる場合もあります。

費用の相場は、A型が6〜15万円、B型が4万円前後、C型が7〜20万円程度となっており、サービス内容や前年度の所得によって開きが生じます。

A型とB型であれば、C型に比べて安価に利用できますが、A型・B型には所得制限もあるため注意が必要です。

介護老人保健施設(老健)

介護老人保健施設(老健)は、リハビリ環境や医療体制が整った介護保険施設です。
介護老人保健施設には、医師・看護士・介護士などの医療スタッフが揃っているため、医療ケアを求める方向けといえます。

入居条件

介護老人保健施設の入居条件は、次のとおりです。

  • 65歳以上
  • 要介護1以上

原則として65歳以上の方が対象ですが、特定疾病による要介護認定を受けている場合は、40歳以上も対象に含まれます。

必要な費用の目安

入居一時金はかかりません。月額の費用は、6〜17万円が相場ですが、部屋のタイプや介護保険の自己負担額によって開きがあります。

介護老人保健施設は、特別養護老人ホーム(特養)よりも、費用が高めになる可能性があります。

国民年金で費用をまかないたい方は、減額制度を検討しましょう。
高額介護サービス費支給制度や高額医療・高額介護合算療養費制度などを使えば、負担を軽くできる場合があります。

介護医療院

介護医療院は、高齢者の長期療養・生活支援を目的に設立された施設です。
介護のみならず、医療環境も整っている点が特徴です。

入居条件

介護医療院の入居条件は、次のとおりです。

  • 65歳以上
  • 要介護1以上

原則として65歳以上の方が対象です。しかし、特定疾病による要介護認定を受けている場合は、40歳以上も対象に含まれます。

必要な費用の目安

入居一時金はかかりません。
月額の費用は、6〜17万円が相場ですが、入居者の介護度、部屋のタイプ、介護保険の自己負担額によって開きが生じます。

国民年金だけで老人ホーム費用をまかなえないときは公的な補助を受ける

生活保護申請書

国民年金だけで、老人ホーム費用をカバーできないときは、公的補助を頼るのが現実的な解決方法になります。
国は、低所得者のために複数の補助制度を用意しています。

特定入所者介護サービス費

介護保険に加入している方は、特定入所者介護サービス費の支給を受けることで、自己負担を軽減できます。

介護保険施設を利用する場合、通常、食費と居住費が発生します。
しかし、収入が低い方にとって、食費と居住費の全額負担は重荷です。

その場合は、特定入所者介護サービス費の支給を受ければ負担は軽くなります。

支給される特定入所者介護サービス費の金額は、負担限度によって異なります。負担限度は5段階で構成され、所得や保有資産額が少ない方ほど負担限度が低くなる仕組みです。

特定入所者介護サービス費の支給の支給条件は、次のとおりです。

  • 介護認定者
  • 世帯の全員が住民税非課税
  • 収入要件・資産要件を満たす

月額の年金受給月額が5万円の方であれば、負担限度が第2段階に該当します(年金以外に収入がない場合)。

国民年金のみで施設費用をまかないたい方は、特定入所者介護サービス費の利用を検討しましょう。

社会福祉法人などの利用者負担軽減制度

社会福祉法人や自治体が提供する利用者負担軽減制度を使えば、施設費用が安くなります。

社会福祉法人や自治体が提供する介護サービスを利用する方で、かつ費用の支払いに困難が生じる方は、利用者負担軽減制度の利用を検討しましょう。

一定の条件を満たせば、負担の軽減が認められます。軽減が認められると、居住費・食費のうち、利用者が負担する額の4分の1程度が軽減されます。

利用者負担軽減制度の申請先は市町村です。制度が気になる方は、お住まいを管轄する市町村に問い合わせてみましょう。

介護保険料の減免制度

介護保険料の免除・軽減を受ければ、介護費用の負担を軽くできます。

生活困窮が原因で介護保険料の免除が適用されるパターンは、次のとおりです。

  • 著しい収入の減少があった場合
  • 災害で甚大な被害を受けた場合
  • 低所得で生活が難しい場合
  • 生活保護を受給している場合

国民年金のみしか収入がない方は、低所得で生活が難しい場合にする可能性があります。
介護保険料の免除・減額を希望する方は、自治体の介護担当窓口等に問い合わせましょう。

高額介護サービス費・高額療養費・高額介護合算療養費制度

介護費用・医療費用に関しては、自己負担が高額になり過ぎるのを防ぐための制度が用意されています。

具体的には、以下の制度があります。

  • 高額介護サービス費支給制度
  • 高額療養費制度
  • 高額介護合算療養費制度

高額介護サービス費支給制度は、ある月の自己負担額が高くなりすぎた場合に有効です。

介護保険利用者で、自己負担額の合計額が一定の上限を超えた場合は、高額介護サービス費の支給を申請しましょう。上限を超えた部分について、払い戻しを受けられます。

高額療養費制度は、治療費の自己負担額が上限を超えた場合に、払い戻しを受けられる制度です。病院等で支払った治療費が高くなりすぎた月があれば、高額療養費制度の利用を検討しましょう。

高額介護合算療養費制度は、ある年における、医療保険と介護保険の自己負担額が高額になりすぎた場合に利用できる制度です。

2つの保険(医療保険と介護保険)の自己負担の合算額が上限を超えた場合、負担した額の一部が払い戻されます。

生活福祉資金の貸付制度

生活福祉資金貸付制度を利用すれば、自治体からお金を借りられます。

国民年金しか収入がなく、必要な費用を払えない場合は、生活福祉資金貸付制度を利用しお金を借りる方法もあります。
無利子、または年利1.5%の低金利でお金を借りられるため、消費者金融や銀行からお金を借りるよりも低リスクです。

生活保護

生活保護を受給すれば、生活に必要なお金を国から受給できます。
国民年金のみでは介護費用を捻出できない場合、生活保護の受給も選択肢に入るでしょう。

なお生活保護受給者は、介護保険料の減免が適用されます。

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不動産などの資産活用で資金を作る方法も

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不動産を活用すれば、収入や預貯金が少なくても、十分な介護資金を確保できます。

不動産を活用した資金作りとしては、具体的に、次の方法が考えられます。

  • 不動産売却
  • リバースモーゲージ
  • マイホーム借り上げ

不動産を売却すれば、現金が手に入ります。

しかし、状況によっては不動産を手放したくない場合もあるでしょう。
その場合は、リバースモーゲージやマイホーム借り上げの方法もあります。

リバースモーゲージは、不動産を担保にお金を借り、死後の不動産売却で返済する資金捻出方法です。
マイホーム借り上げは、国の制度を通して不動産を賃貸し、賃料を得る現金調達方法です。

いずれの制度も、不動産所有者本人の意思能力が前提となります。
認知症進行後では手遅れになるため、注意しましょう。

なお、認知症対策としては家族信託が有効です。家族信託を組んでおけば、認知症後であっても、影響を受けることなく、本人の不動産を動かせます。

在宅介護の場合は介護サービスを上手く活用しよう

介助士

在宅介護の場合は、介護サービスを上手に活用しましょう。

施設利用の費用を懸念して、在宅介護を選ぶ方もいるでしょう。
しかし、家族のみによる在宅介護は、精神的にも肉体的にも家族への負担が大きいです。

在宅介護を選ぶ際は、介護サービスも取り入れて、介護の負担を減らしましょう。

在宅で受けられる介護サービスには、次のようなものがあります。

  • 訪問介護
  • 訪問看護
  • 訪問入浴
  • 訪問リハビリテーション
  • 居宅療養管理指導
  • 夜間対応型訪問介護

必要なタイミングで必要なサービスのみを利用すれば、国民年金のみで在宅介護費用をまかなうこともできます。

老人ホームの費用に関するよくある質問

よくある質問

老人ホームの費用に関して、よくある質問に回答します。

老人ホームの費用はどのくらいかかりますか?

老人ホームの入所にかかる費用は、初期費用が平均で175万円前後、月額の費用が平均で20万円前後とされています。

しかし、老人ホームの費用は、利用する施設によって大きなバラつきがあります。収入や預貯金に余裕がない方は、民間施設を避けて公的施設を選びましょう。

公的施設であれば、初期費用も0円で済ませることもでき、月額の費用も安くなります。国が用意する補助制度を上手に活用すれば、老人ホームの費用はさらに安くなるでしょう。

老人ホームの費用を払えないとどうなるのですか?

老人ホームの費用を払えない場合、最終的には強制退去になる恐れがあります。

しかし、滞納後すぐに強制退去させられるケースは稀です。一時的に費用を滞納したとしても、後に滞納を解消すれば、強制退去は免れます。

もっとも無断で滞納を続けるのは、施設に与える印象が悪いです。滞納の理由と、滞納解消のための計画をスタッフに伝え、真摯な態度で接しましょう。

仮に滞納を解消したとしても、滞納をきっかけに施設から良くないイメージを持たれてしまえば、施設内での居心地が悪くなってしまいます。

滞納の解消が難しい場合は、より安価な施設へ転居する選択肢もあります。

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まとめ:国民年金だけでも老人ホームに入れる可能性はある

介助士

国民年金だけでも、老人ホームに入れる可能性があります。
公的施設は入居一時金もかからず、月額の費用も安く設定されているところが多いためです。

また、介護費用を安く抑えるための補助制度も複数用意されています。
国民年金しか収入がない方でも、公的施設・公的制度を上手に使えば、介護に備えられるでしょう。

ただし、介護資金が不十分だと、利用できるサービスが限定されます。
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この記事を書いた人

ファミトラは「人生100年時代のコンシェルジュ」として、認知症による資産凍結だけでなく、家族の老後にまつわるさまざまな課題解決に伴走しています。介護や相続の他、遺言や任意後見・成年後見制度、生前贈与といったこれまでの対策に加わるかたちで、「家族信託」のサービスをあたりまえにすることを目指しています。

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