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成年後見人の報酬の目安は?基本報酬と付加報酬の違いや報酬の申立て方法について解説

成年後見制度 費用

成年後見制度を利用する場合、成年後見人にどれくらいの報酬を払わなければならないのかが気になる方も多いのではないでしょうか?

成年後見人に支払われる報酬には、毎月発生する基本報酬と、特別な業務に関して発生する付加報酬があります。 なお、法定後見か任意後見かで報酬の決まり方は違うため、それについても理解しておかなければなりません。

そこで今回は、成年後見人の報酬の目安や報酬を請求する方法について解説します。 これから成年後見制度の利用を検討している方は、参考にしていただければ幸いです。

この記事の監修者
司法書士 姉川智子

姉川 智子
(あねがわ さとこ)
司法書士

2009年、司法書士試験合格。都内の弁護士事務所内で弁護士と共同して不動産登記・商業登記・成年後見業務等の幅広い分野に取り組む。2022年4月より独立開業。
知識と技術の提供だけでなく、依頼者に安心を与えられる司法サービスを提供できることを目標に、日々業務に邁進中。一男一女の母。

目次

成年後見人に払う報酬はいくらが目安?

成年後見制度には法定後見と任意後見の 2 種類があり、報酬の決まり方もそれぞれで異なります。

また、成年後見人を監督する職務を行う後見監督人が選任されるケースでは、後見監督人の報酬も発生します。

まずは、成年後見人や後見監督人の報酬の目安について説明します。

法定後見人の基本報酬・付加報酬

法定後見とは、既に意思能力が低下してしまっている人に代わって、財産管理や法律行為を行う後見人を選任してもらう制度です。

法定後見の場合、後見人は家庭裁判所によって選任されます。また、後見人の報酬も、家庭裁判所が決める仕組みになっています。

法定後見人の報酬は、基本報酬と付加報酬の 2 つに分かれます。

基本報酬

通常の後見事務に対して支払われるもので、月額あたりいくらという形で決定されます。 基本報酬は管理している財産の額に応じて変わり、各裁判所で基準が設けられています。

東京家庭裁判所の場合、基本報酬の目安は次のとおりです。

管理財産額後見人の基本報酬(月額)
1,000万円以下2万円
1,000万円超 5,000万円以下3万円~4万円
5,000万円超5~6万円

なお、親族が後見人に選任された場合など後見人が報酬を受けることを希望しない場合は、報酬は発生しません。

付加報酬

一般的なケースよりも困難な業務が発生したときに、基本報酬に上乗せして支払われる報酬のことです。

東京家庭裁判所の基準では、日常的に行う身上監護について特別に困難な事情がある場合には、基本報酬の 50%の範囲内で報酬の上乗せが可能とされています。

また、訴訟、遺産分割、不動産の任意売却などの特別な行為を行った場合には、その内容に応じて相当額(40 ~ 150 万円程度)が支払われることになっています。

任意後見人の報酬

任意後見とは、本人にまだ意思能力があるうちに、本人が希望する人との間で成年後見人になってもらう契約(任意後見契約)を結んでおく方法です。

実際に任意後見契約が効力を生じるのは、本人の意思能力が低下した後となります。

また任意後見では、報酬を必ず支払わなければならないわけではありません。任意後見はあくまで当事者間の契約ですから、契約自由の原則により、報酬も自由に決められるのが特徴です。そのため、任意後見人を引き受ける人が了承していれば、無報酬とすることも可能です。

親族などが任意後見人になる場合には、無報酬もしくは月額 3 万円以下の報酬に設定されることが多くなっています。一方、弁護士や司法書士などの専門家に後見人を依頼する場合には、月額 3 ~ 5 万円程度を支払うのが一般的です。

もっとも、親族などが任意後見人になる場合は後述する後見監督人の報酬が発生します。

後見監督人の報酬

後見監督人は、成年後見人が適切に後見事務を行っているかどうか監督する役割を果たします。

法定後見では、後見監督人を選任するかどうかは事案ごとに家庭裁判所が判断しますが、任意後見では、後見監督人が選任されたときに任意後見契約の効力が生じることになるため、必ず後見監督人が選任されます。

いずれの場合でも、後見監督人は家庭裁判所によって選任され、通常は弁護士や司法書士などの専門家が就任します。親族に無報酬で後見人を依頼しているようなケースでも、後見監督人が選任されると後見監督人の報酬が発生するということです。

後見監督人の報酬も、後見人と同様、家庭裁判所が決定します。東京家庭裁判所の基準では、後見監督人の基本報酬の目安は次のようになります。

管理財産額後見人の基本報酬(月額)
5,000万円以下1万円~2万円
5,000万円超2万5,000円~3万円

成年後見人の報酬付与を申し立てるには?

成年後見人の報酬付与を申し立てるには?

法定後見の場合、後見人に自動的に報酬が支払われるわけではありません。

家庭裁判所に報酬付与の申立てをし、審判という形の決定をもらうことにより後見人は報酬を受け取れます。

親族が後見人になっていても、報酬付与の申立てをして報酬を受け取ることは可能です。

報酬付与申立てとは

成年後見人に就任すると、本人の財産管理や身上監護を行わなければなりません。 これらの仕事には手間がかかるため、後見人を引き受ける人は報酬を受け取りたいと考えるのも当然といえるでしょう。

任意後見の場合には、報酬については本人との間の任意後見契約で事前に決めることになります。 実際に後見人の仕事をやった後で報酬をもらいたいと思っても、無報酬で任意後見契約を結んでいた場合、後見人は報酬を受け取ることができないため注意が必要です。

一方法定後見の場合には、事前に報酬を決めていなくても事後に報酬を請求することができます。ただし、後見人自らが勝手に報酬額を決めて受け取れるわけではありません。後見人が報酬をもらうには、家庭裁判所に「報酬付与申立て」という報酬請求の手続きをする必要があります。 手続きを行うことにより、成年後見人は、家庭裁判所が決定した報酬額を、本人の財産から受け取れる仕組みになっています。

報酬付与申立ての時期

成年後見人の報酬は、基本的に後払いです。

成年後見人は、後見人としての業務を行った後で、報酬付与申立てをして支払いを請求します。 なお、報酬付与申立てをいつするかについて、法律上明確なルールはありません。 一般には、年1回家庭裁判所に後見事務報告書等を提出する(以下、「定期報告」といいます。)タイミングで1年分の報酬付与も申し立てます。

成年後見人に就任すると、年に1回家庭裁判所に定期報告をするよう求められるのが通常ですが、そのタイミングで報酬も請求すれば年1回の手間で済むからです。

成年後見人の報酬は、必ずしも1年などの期間を区切って請求する必要はないため、成年後見人を辞任するとき、もしくは本人が亡くなって成年後見人としての職務が終了するときに、それまでの分をまとめて請求することも可能です。

報酬付与申立てに必要な書類

家庭裁判所に報酬付与申立てをするときには、次の書類等が必要になります。

① 申立書
家庭裁判所所定の書式に必要事項を記入して提出します。

② 報酬付与申立事情説明書
家庭裁判所所定の書式に必要事項を記入して提出します。付加報酬も求める場合は、その旨も記載します。必要に応じて資料を添付します。

③ 後見事務報告書
家庭裁判所所定の書式に必要事項を記入して提出します。必要に応じて資料を添付します。

④ 財産目録
家庭裁判所所定の書式にて財産目録を作成し、前回報告後現在までの財産に関する資料(通帳コピーなど)を添付します。

⑤ 年間収支状況報告書
家庭裁判所から要請があったときのみ提出します。

⑥ 収入印紙
裁判所への申立手数料として、800 円を収入印紙で納めます。

⑦ 郵便切手
裁判所からの返信用に 84 円切手を事前に提出しておきます。

※なお、③ ~ ⑤ の書類は、報酬付与申立てと同時に行う定期報告の書類として提出するものです。報酬を請求する期間について既に定期報告を行っている場合には、③ ~ ⑤ は既に提出しているはずであるため、改めて提出する必要はありません。

報酬付与申立て手続きの流れ

最初の報酬付与申立ては、通常は成年後見人に選任されて1年経過後に行います。申立てから報酬の受け取りまでは、次のような流れになります。

STEP
必要書類を準備する

まずは申立てに必要な書類を準備します。

STEP
家庭裁判所に申立てをする

選任を受けた家庭裁判所に必要書類を提出して申立てします。

STEP
審判

報酬付与申立てを受理してから 2 週間程度で審判が出され、審判書が送られてきます。

STEP
報酬の受け取り

審判書を受け取ったら、管理している本人の財産から審判で決定した金額の報酬を受領します。

親族が成年後見人になった場合の報酬の目安

成年後見人が就任する場合は、弁護士や司法書士などの専門家が就任するケースと親族が就任するケースの主に 2 つが挙げられます。

報酬の相場は前述したとおりで、基本報酬については財産額に応じて月額 2 ~ 6 万円程度です。また親族が成年後見人になった場合は、報酬付与申立てをせず、報酬を受け取らないケースが多くなっています。

しかし、最初は無報酬で良いと思って成年後見人を引き受けたとしても、実際にやってみると報酬をもらいたいと考える場合もあるでしょう。そうした場合には、親族であっても報酬付与申立てをし、成年後見の報酬をもらうことに問題ありません。

なお任意後見では、後見人の報酬は事前に任意後見契約で決めます。親族が任意後見人を引き受ける場合には、安い報酬額で引き受けることや、無報酬で引き受けることも多くなっています。

成年後見人の報酬額が決定されるときの基準

ここまでは、法定後見において成年後見人が報酬を受け取るには報酬付与の申立てが必要である旨を説明してきました。

では、家庭裁判所はどのようにして成年後見人の報酬額を決めるのでしょうか?

ここからは、成年後見人の報酬額が決定されるときの基準について説明します。

業務内容や財産額で決まる

民法では「家庭裁判所は、後見人及び被後見人の資力その他の事情によって、被後見人の財産の中から、相当な報酬を後見人に与えることができる」(862 条)と定められています。

つまり、それぞれのケースごとに財産状況やその他の事情を考慮して、後見人の報酬が決まるということです。

家庭裁判所は、報酬付与の申立ての際に提出された「報酬付与申立事情説明書」をもとに、成年後見人の報酬額を決定します。

なお、成年後見人の報酬のうち基本報酬は必ず支払われますが、付加報酬は通常よりも困難なケースや、特別な行為をした場合に支払いを受けられます。

通常よりも管理が難しい事情がある場合、訴訟や調停・審判手続きの対応、遺産分割協議、不動産の任意売却、不動産の賃貸管理などを行ったときには、報酬付与申立事情説明書に記入した上で資料を添付しておくと、付加報酬の支払いが受けられる可能性があります。

第三者が後見人になる場合は報酬額が高くなる

成年後見人には親族が選任されることもありますが、司法書士、弁護士、社会福祉士などの専門知識を持つ第三者が選任されることもあります。

最高裁判所事務総局家庭局がまとめた「成年後見関係事件の概況」によると、令和 2 年中に全国の家庭裁判所で処理された成年後見関係事件のうち、親族が成年後見人に選任されたケースは 19.7%、親族以外が選任されたケースは 80.3%です。現在では、親族以外が成年後見人になるケースが圧倒的に多いことがわかります。

なお、親族が後見人になる場合、任意後見では無報酬の契約、法定後見では報酬付与申立てをしないケースも珍しくありません。一方、第三者である専門家が後見人になるケースでは、法定後見でも任意後見でも、相当額の報酬を支払う必要があります。

成年後見人の報酬が払えない場合はどうすればいい?

成年後見人が必要な人は、財産のある人ばかりとは限りません。

成年後見制度を利用したいのに、無償で後見人になってくれる親族もおらず、報酬を払って専門家に依頼することも困難なケースはあるでしょう。

成年後見人の報酬が払えない場合、助成金を利用する方法があります。ここからは、その方法について解説します。

各自治体の助成金を利用する

法定後見を申し立てる場合、親族を後見人候補者に指定できますが、候補者がそのまま選任されるとは限らず、第三者が後見人に選任されることもあります。また、後見人候補者になってくれる親族がいなければ、当然第三者が後見人に選任されます。

つまり法定後見を利用する以上、親族以外が後見人となり報酬が発生する可能性があるということです。そしてこの報酬は、本人の財産から支払うことになります。

しかし、本人の財産が少なく、成年後見人の報酬を払うのが困難なこともあるでしょう。 このように、経済的な理由で成年後見制度が利用できない人を支援するために、厚生労働省は成年後見制度利用支援事業を促進しています。

これは、身寄りがなく法定後見の申立てをするのが困難な人のために、市町村が代わりに申立て手続きを行ったり、必要な費用を負担したりする事業です。成年後見制度利用支援事業により、後見人の報酬についても市町村から助成が受けられます。

助成金を受けるための条件は?

成年後見制度の利用に係る申立て費用及び報酬の助成を行っている自治体の数は、年々増加しています。令和 3 年現在、全国の 8 割以上の自治体で助成が実施されています。(高齢者関係 85.2%、障害者関係 84.6%)

助成金を利用すれば、成年後見人の報酬だけでなく、申立て費用についても負担を減らせます。申立て費用には、申立手数料(収入印紙代)のほか、登記手数料、鑑定費用なども含まれます。

助成金を受けるための条件は自治体によって異なりますが、生活保護受給者であること、または世帯年収や預貯金などの資産が一定の金額以下であることなどが必要です。

なお、助成金が受けられるのは司法書士や弁護士などの専門家が後見人になる場合のみとし、親族が後見人になる場合には対象外としている自治体もあります。

助成金の支給額は?

後見人報酬に対して助成金として支給される金額は、各自治体で異なります。

一般には、月 2 万円程度を上限に報酬付与の審判で決定した額の支給が受けられます。 管理財産額が 1,000 万円以下の場合の基本報酬の目安は月 2 万円で、助成金をもらえば基本報酬を賄えることが多くなっています。

なお、助成金は基本報酬に関するもので、付加報酬については助成金の対象ではありません。また本人が持っている預貯金の金額によっては、助成金が減額されることがあるため注意が必要です。

助成金を申請する場合、報酬付与の審判が確定した後、後見人が役所に必要書類を提出して手続きします。申請には期限が設けられているため、期限内に手続きする必要があります。

成年後見人報酬の算定方法は改定される可能性がある

前項「法定後見人の基本報酬・付加報酬」で説明したとおり、成年後見人の基本報酬は、財産額に比例します。

つまり、業務にかかる手間が同じであっても、財産額が大きいほど報酬が高くなるということです。

しかし、近年になって、成年後見人として報酬をもらっている人が、報酬額に見合った業務をしていないことが問題視されるようになりました。

一方で、財産管理事務以外の身上監護事務(生活、療養、介護などに関する事務)は煩わしい業務が多いにもかかわらず、報酬が低いという問題点もあります。

こうしたことから、今後は成年後見人の報酬算定方法が改定される見込です。 現在のように財産額に応じた報酬額ではなく、業務の困難さの程度に応じた報酬額を設定する形に変わる可能性があります。

成年後見人の報酬は財産額や業務内容によって決まる

成年後見人の報酬は財産額や業務内容によって決まる

いかがでしたでしょうか? 今回の記事では、成年後見人の報酬の目安や報酬の種類、報酬を請求する方法などについて解説しました。

成年後見制度のうち法定後見制度では、成年後見人の報酬は財産額や業務内容によって、基本報酬と付加報酬の金額が決まる仕組みになっています。また、成年後見人が報酬を受け取るには、報酬付与の申立て手続きが必要になるということを覚えておきましょう。

成年後見制度は既に意思能力が低下・喪失してしまった場合において有効な制度ですが、まだ意思能力が十分にある場合には、成年後見ではなく「家族信託」という選択肢もあります。

家族信託であれば、裁判所を通す必要もなく、ご家族間で状況に応じた柔軟な財産管理を行うことが可能です。財産の管理者である受託者に対して報酬を発生させるかどうかや報酬の額についても、契約時に自由に定めることができます。

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この記事を書いた人

小牟田尚子 小牟田尚子 家族信託コーディネーター®

化粧品メーカーにて代理店営業、CS、チーフを担当。
教育福祉系ベンチャーにて社長室広報、マネージャーとして障害者就労移行支援事業、発達障がい児の学習塾の開発、教育福祉の関係機関連携に従事。
その後、独立し、5年間美容サロン経営に従事、埼玉県にて3店舗を展開。
7年間母親と二人で重度認知症の祖母を自宅介護した経験と、障害者福祉、発達障がい児の教育事業の経験から、 様々な制度の比較をお手伝いし、ご家族の安心な老後を支える家族信託コーディネーターとして邁進。

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