MENU

1人で悩んでも家族のお金の問題は解決しません。わからないことは家族信託のプロにお任せを!

お客様のご状況に合わせて最適な方法を幅広くご提案・サポートいたしますので、お気軽にご相談ください。

平日 9:00~18:00でご相談受付中

任意後見制度のデメリットは?法定後見制度や家族信託との違いも解説

任意後見制度のメリット・デメリット

認知症対策の1つとして注目されている任意後見制度。

認知症になる前に契約を結べるため、契約を結んでおけばいつ認知症になっても財産管理や身分行為で不安を抱えることは少なくなるでしょう。

しかし、任意後見制度にはデメリットがあり、場合によっては大きなトラブルに発展する可能性も考えられます。

そこで、本記事では任意後見制度のデメリットについて解説します。

任意後見制度と併せて利用すべき契約についても解説しているので、ぜひ最後までお読みください。

目次

任意後見制度とは?

任意後見制度とは?

最初に、任意後見制度について解説します。

任意後見制度の概要や3つの契約の種類、また後見人には誰がなれるのかを見ていきましょう。

任意後見制度は将来後見人となる人を事前に決めておくことができる制度

任意後見制度とは、判断能力を失った人の財産を管理する成年後見制度のうちの1つであり、将来後見人となる人を事前に決めておくことが可能な制度です。

成年後見制度のうち、もう1つの制度である「法定後見制度」では、家庭裁判所が後見人を選任するため、誰が後見人になるのかを指定できません。

そのため、弁護士など家族以外の人が後見人になる可能性があり、不安を感じる方も少なくありません。

なお、任意後見制度でも、任意後見人の業務を監督する任意後見監督人が家庭裁判所により選任されます。

しかし、財産の管理は事前に任意後見契約で決めておいた任意後見人がおこない、任意後見監督人がその監督をおこなう制度であるため、管理自体は家族など、本人が指定した人に依頼することが可能です。

任意後見人には3つの種類がある

任意後見人には以下の3つの種類があります。

  1. 即効型契約
  2. 将来型契約
  3. 移行型契約

それぞれの種類について1つずつ解説します。

1.即効型契約|契約と同時に開始

即効型契約とは、契約と同時に後見が開始する制度です。

任意後見制度は、判断能力を失ってしまった後では利用できません。しかし、判断能力の低下が軽度であれば利用できます。

そのため、軽い認知症や軽い知的障がいを抱えている方が、判断能力があるうちに自分の財産を管理してくれる人を決める場合に使われることが多いです。

ただちに後見が開始されるため、本人と任意後見人との間で意思疎通がうまくいっていないとトラブルの元になるため注意してください。

2.将来型契約|本人の判断能力が低下した時点で開始

将来型契約とは、事前に任意後見契約を締結しておき、本人の判断能力が低下した時点で後見が開始する制度です。

将来、本人の判断能力が低下したとき、慌てずに任意後見制度の利用に移れるように準備するために利用されることが多いです。

本人の判断能力があるうちに任意後見契約を済ませられるため、本人の意向を大いに尊重できる利点があります。

任意後見人が別居している場合は、本人の判断能力の低下に気づけず、後見を開始できない可能性があるので注意してください。

3.移行型契約|徐々に支援を移行

移行型契約とは、徐々に支援を移行する制度です。

委任契約と任意後見契約の2つの契約を結びます。まだ判断能力があるうちは、委任契約に沿った財産管理などをおこない、判断能力を失ったら任意後見契約に沿って後見をおこないます。

徐々に移行しながら支援できるため、状況に応じて適切な対応が取れるでしょう。

任意後見人は家族や親族、第三者でも可能

任意後見人は、家族や親族、第三者など、自分が信頼できる人を選べます

特定の資格や経験が必要なわけではないため、信頼できる人であれば誰でも任意後見人になることができます。

しかし、未成年者や過去に家庭裁判所に解任された補助人・保佐人・法定代理人、破産者など、任意後見人になれない人もいるので、注意してください。

法定後見制度や家族信託との違い

家族

ここでは、法定後見制度と家族信託との違いについて、以下の7点を中心に解説します。

  • 概要
  • 対策できる時期
  • 利用する際の条件
  • 利用するのにかかる費用
  • 財産管理者
  • 任務終了までの期間
  • 監督機関

概要

法定後見制度とは、判断能力が低下した人をサポートするため、親族等が申し立てることにより利用が始まる制度です。

裁判所が選任した人が後見人として、判断能力が低下した人の生活をサポートします。

後見人は本人の財産をどのように使ったのかなどを定期的に裁判所に報告する義務を負っており、不動産の処分などをする際は裁判所の許可を取らなければなりません。

本人の判断能力が低下してから利用する制度であるため、判断能力の低下に備えて事前に準備しておきたい場合は他の制度を利用することになるでしょう。

一方、家族信託とは、家族や親族など委託者が信頼のおける人を受託者とし、財産の管理等を受託者に依頼する制度です。

法定後見制度とは異なり、本人の判断能力があるうちに契約しなければならない制度であるため、認知症等で判断能力を失った時に備える際に用いられます。

法定後見制度では後見人が法律行為の代理なども可能ですが、家族信託では財産の管理・運用等しか認められていません。

しかし、財産の管理者は裁判所に選任されるのではなく、自分で決められるため、安心して管理を任せられることが大きな特徴です。

対策できる時期

概要でも少し触れましたが、法定後見制度と家族信託では対策できる時期が異なります。

法定後見制度では判断能力が低下した時、もしくは失った時に申し立てをする一方、家族信託では判断能力がまだある状態で契約を結ぶという違いがあるのです。

なお、家族信託では判断能力が低下していることが見受けられても、低下の度合いが軽微であれば契約が認められるケースもあります。

利用する際の条件

利用する際の条件についても違いがあります。

対策できる時期でも見たとおりですが、法定後見制度は判断能力が低下した場合でないと利用できません。

なお、判断能力が低下したとする医師の診断書が必要であることに注意してください。

一方、家族信託は判断能力が低下していないことが利用する際の条件です。

ただし、判断能力の低下が軽微である場合、利用が認められる場合もあります。

利用するのにかかる費用

法定後見制度も家族信託も、利用するには以下の費用が必要です。

  • 初期費用(契約・登記等にかかる費用)
  • 初期費用(専門家に依頼した場合にかかる費用)
  • ランニングコスト

それぞれの制度でどの程度の違いがあるのかを見ていきましょう。

初期費用(契約・登記等にかかる費用)

法定後見制度の初期費用のうち、契約や登記等で必要なのは後見開始の申し立てに必要な約1万円です。

また、場合によっては精神鑑定が必要となり、5〜10万円ほどの費用がかかります。

一方、家族信託の初期費用のうち、契約や登記等で必要なのは公正証書の作成費用です。

費用は5,000円〜25万円ほどであり、財産額によって大きく異なります。

例えば、財産額が100万円以下の場合は5,000円、財産額が10億円の場合は約25万円です。

初期費用(専門家に依頼した場合にかかる費用)

手続き等を専門家に依頼すると、専門家に支払う費用も必要です。

法定後見制度では申し立て代理手数料として、およそ10〜30万円かかります。

一方、家族信託では信託契約書の作成費用としておよそ50〜150万円、コンサルティング費用として別に5〜10万円かかります。

ランニングコスト

法定後見制度でも家族信託でも、ランニングコストがかかる場合があります。

法定後見制度では成年後見人や法定後見監督人に対し、3〜10万円ほどの月額報酬を支払います。

ただし、法定後見監督人を付けない場合、費用はやや安くなり、家族が成年後見人に選任される場合、月額報酬が必要ない場合もあるでしょう。

一方、家族信託でも信託監督人への報酬として、月額数万円が必要です。

ただし、信託監督人をつけなければこの報酬は必要ありません。

財産管理者

法定後見制度で財産管理者となるのは、家庭裁判所が選任した成年後見人です。

なお、成年後見人は財産を管理しつつ、財産の状況について定期的に裁判所へ報告する義務があります。

一方、家族信託で財産管理者となるのは、委託者と契約を結んだ受託者です。

受託者は自由に決めることが可能であり、信頼のおける人物であれば家族以外でも選任できます。

任務終了までの期間

法定後見制度は、原則として途中で辞めることができません。

任務が終了するのは、被後見人の判断能力が回復する場合と被後見人が死亡する場合だけであるため、それ以外の場合は途中で辞めることができないのです。

一方、家族信託は委託者と受益者との間で合意がなされれば終了できます。

また、信託契約で終了事由を定めておくことが可能であり、終了事由を満たした場合も終了します。

監督機関

成年後見制度の監督機関は、家庭裁判所と成年後見監督人です。

加えて、成年監督人は家庭裁判所に定期的に財産状況について報告する義務があります。

一方、家族信託の監督機関は、信託監督人や受益者代理人です。

ただし、信託監督人や受益者代理人は契約で定めない限り設置をされないため、委託者が受託者について監督してほしいと考える場合は、信託契約で決めておく必要があります。

任意後見制度を利用するメリットは?

任意後見制度を利用するメリットは?

任意後見制度を利用するメリットは、主に以下の2つが挙げられます。

  • 自分の意思で自由に後見人を選べる
  • 後見人に依頼したい支援内容を自由に設計できる

1つずつ解説します。

自分の意思で自由に後見人を選べる

任意後見制度では、自分の意思で自由に後見人を選べます

もう1つの成年後見制度である「法定後見制度」では、後見人を選ぶことができず(但し家庭裁判所に候補者の希望を出すことはできます。)、家庭裁判所に選任された人が後見人になります。

その場合、関わりの深くない弁護士などが選任されるケースもあるため、信頼できないと考える人も少なくないでしょう。

しかし、任意後見制度では親族・弁護士・司法書士など、自分の信頼している人で、「任意後見人になれない人」に含まれていない人であれば、誰でも選任可能です。安心して財産管理を任せられるでしょう。

後見人に依頼したい支援内容を自由に設計できる

後見人に依頼したい支援内容を自由に設計できることも、メリットの1つでしょう。

任意後見制度では、財産管理や介護に必要な身上保護などの具体的な依頼内容を、本人と後見人との協議で自由に決められます。

どんな支援をして欲しいかを事前に考えることで、判断能力を失ってからも本人が理想としている生活を送れるでしょう。

家族信託をご検討中の方へ

家族信託 無料相談

認知症による資産凍結問題は1人で悩んでも問題は解決しません。わからないことは家族信託のプロに無料で相談してみませんか?

家族信託コーディネーターが、ご家族に寄り添い、真心を込めて丁寧にご対応します。お客様のご状況に合わせて最適な方法を幅広くご提案・サポートいたします。

お気軽にまずは無料相談をご活用ください。

家族信託をご検討中の方へ

認知症による資産凍結問題は1人で悩んでも問題は解決しません。わからないことは家族信託のプロに無料で相談してみませんか?

家族信託コーディネーターが、ご家族に寄り添い、真心を込めて丁寧にご対応します。お客様のご状況に合わせて最適な方法を幅広くご提案・サポートいたします。

お気軽にまずは無料相談をご活用ください。

電話受付時間:9:00〜18:00(平日)

任意後見制度にはデメリットもある

任意後見制度にはデメリットもある

一方、任意後見制度にはデメリットもあります。

任意後見制度のデメリットは、主に以下の5つが挙げられます。

  • 取消権が認められていない
  • 本人の死亡と同時に契約が終了してしまう
  • 契約を開始するには家庭裁判所への申立てが必要
  • 任意後見契約を解除される可能性がある
  • 手間やコストがかかる

1つずつ見ていきましょう。

取消権が認められていない

任意後見制度では取消権が認められていません。

法定後見制度においては、本人が不要な不動産を大量購入してしまうなど、本人の不利益となるような契約をしてしまった際、後見人が契約を取り消すことが可能です。

一方、任意後見人には取消権がないため、本人が自身にとって不利益となる契約をしてしまっても、他の取消事由がない限り、その契約を取り消せません

「財産の保護」という観点から見ると、かなり大きな弱点になります。あらかじめ理解しておくことが重要です。

本人の死亡と同時に契約が終了してしまう

任意後見制度では、本人が死亡すると同時に契約が終了します。

そのため、葬儀の準備や財産の管理など、死後の支援は任意後見人には対応できません

もし、任意後見人に死後の支援をしてもらいたい場合は、任意後見契約だけでなく、「死後事務委任契約」も締結しておく必要があります。

あくまでも任意後見制度とは、本人が生存している間の支援をする制度だと理解しておきましょう。

契約を開始するには家庭裁判所への申立てが必要

任意後見制度の契約を開始するには、家庭裁判所への申立てが必要です。

家庭裁判所へ申立てをしても、すぐに契約が開始されるわけではなく、2〜3週間必要です

迅速に利用したい場合には、困ってしまうことがあるかもしれません。

任意後見契約を解除される可能性がある

任意後見契約は、当事者の合意により成立しますが、一方的に解除することも可能です。

そのため、相手から任意後見契約を解除されてしまった場合、せっかく任意後見契約を結んで判断能力の低下に備えていたのに、また新たに他の後見人と任意後見契約を結び直さなければなりません。

新たに契約を結ぶ際も、1回目の契約と同様に公正証書の作成手数料を支払う必要がある点にも注意してください。

手間やコストがかかる

任意後見制度を利用するには、手間やコストがかかります。

任意後見制度を利用するためには、家庭裁判所への申立てが必要です。申立てには様々な書類の準備が必要であり、多くの手間がかかります。

また、任意後見契約書の作成には費用がかかり、任意後見監督人への報酬も支払わなければならないため、コストもかかるのです。

そのため、任意後見制度の利用は面倒だと感じる人もいるでしょう。

任意後見制度の手続きの流れをわかりやすく解説

任意後見制度の手続きの流れをわかりやすく解説

任意後見制度の手続きは、以下の流れで進められます。

  • 任意後見の契約内容と任意後見人候補を決める
  • 任意後見契約書を作成し、登記をする
  • 家庭裁判所へ任意後見監督人選任の申立てをおこなう

手順を1つずつ見ていきましょう。

任意後見の契約内容と任意後見人候補を決める

まず、任意後見契約の内容と任意後見人候補を決めます。

任意後見制度では依頼内容を自由に決められるため、どんな内容を依頼したいのかを検討する必要があります。

あわせて、3種類の中から契約方法を決められるので、どの方法を利用するのかも考えましょう。

任意後見人候補は、日常生活でも支援を頼みたい場合は親族や知人・友人。財産の保護をきちんと頼みたい場合は弁護士や司法書士をはじめとした専門家がおすすめです。

任意後見契約書を作成する

続いて、任意後見契約書を作成します。

任意後見契約書を作成する際は、公正証書での作成が必要です。

なお、契約内容が複雑になる場合は、専門家に契約書の案を作成してもらうことも可能なので、積極的に利用しましょう。

公証役場で契約を締結すると、公証人が法務局に対して後見登記を依頼します。2〜3週間で手続きが完了し、次の手続きである家庭裁判所への申立てに必要となる、登記事項証明書が作成されます。

家庭裁判所へ任意後見監督人選任の申立てをおこなう

本人が判断能力を失ったら、家庭裁判所へ任意後見監督人選任の申立てをおこないます。

本人や任意後見人、もしくは四親等以内の親族が、申立人として必要な書類を家庭裁判所へ提出する必要があります。

任意後見監督人とは、任意後見人が適切に後見をしているのかを監督する役割であり、家庭裁判所が適当だと判断した人が選任されます。

任意後見監督人が選任されると任意後見人に郵送での通知がなされ、任意後見が開始されます。

任意後見監督人選任の申し立て時に必要な書類一覧

委任状

任意後見監督人選任の際にはいくつかの書類の提出が必要です。以下が申し立ての際に必要な書類になりますので、以下を参考に必要書類の準備をしましょう。

申し立てする際に準備すべき書類一式

① 任意後見監督人選任申し立て書
② 本人の事情説明書
③ 親族関係図
④ 財産目録
⑤ 収支状況報告書
⑥ 任意後見受任者の事情説明書
こちらは申立先の家庭裁判所窓口か、家庭裁判所の公式HPからダウンロードが可能です

本人に関連する書類

① 戸籍謄本
② 住民票
各市町村役場の窓口にて受け取ることができます。
③ 後見登記されていないことの証明書
④ 任意後見登録事項証明書
法務局本局にて窓口での申し込み受領もしくは、郵便での対応が可能です。
⑤ 医師による診断書
現在通院中の病院などで発行してもらいましょう。所定の書式が定められているので、裁判所の後見ポータルサイト内「成年後見制度における鑑定書・診断書作成の手引」から「診断書書式」(Word 形式)のダウンロードできるので確認しましょう。
⑥ その他
・健康状態に関して分かるもの:身体障がい者手帳や療育手帳など
・収入れに関して分かるもの:年金額決定通知書、確定申告書、給与明細など
・支出に関して分かるもの:税金の納税通知書、保険料等の決定通知書など
・保有財産に関して分かるもの:通帳や残高証明書、不動産全部事項証明書など
・任意後見契約公正書のコピー:原本は公証にて受け取ることができます。

家族信託をご検討中の方へ

家族信託 無料相談

認知症による資産凍結問題は1人で悩んでも問題は解決しません。わからないことは家族信託のプロに無料で相談してみませんか?

家族信託コーディネーターが、ご家族に寄り添い、真心を込めて丁寧にご対応します。お客様のご状況に合わせて最適な方法を幅広くご提案・サポートいたします。

お気軽にまずは無料相談をご活用ください。

家族信託をご検討中の方へ

認知症による資産凍結問題は1人で悩んでも問題は解決しません。わからないことは家族信託のプロに無料で相談してみませんか?

家族信託コーディネーターが、ご家族に寄り添い、真心を込めて丁寧にご対応します。お客様のご状況に合わせて最適な方法を幅広くご提案・サポートいたします。

お気軽にまずは無料相談をご活用ください。

電話受付時間:9:00〜18:00(平日)

任意後見人は本当に必要?制度を利用すべきケースを紹介

任意後見人は本当に必要? 制度を利用すべきケースを紹介

ここまでの説明で「任意後見人は本当に必要?」と感じる人もいるかもしれません。

ここでは任意後見制度を利用すべきケースを2つ紹介します。

家族以外の第三者に後見人を依頼したい人

1つ目のケースは家族以外の第三者に後見人を依頼したい場合です。

任意後見制度では自由に後見人を選べるため、家族を後見人にすることも、家族以外の第三者を後見人にすることも可能です。

しかし、法定後見制度では裁判所によって後見人が選任されるため、家族になるか家族以外の第三者になるのかわかりません。

中には、財産を安全に管理してもらうなどの理由から、弁護士や司法書士、行政書士、福祉専門家など、家族以外の第三者に後見を依頼したい方もいるでしょう。

確実に家族以外の第三者に後見を依頼したい場合は、自由に選べる任意後見制度がおすすめです。

未成年の子どもが障がいを持っている人

2つ目のケースは未成年の子どもが障がいを持っている場合です。

障がいを持っている子どもが成人になると、その時点で財産が凍結されてしまう可能性があります

その場合は法定後見制度しか利用できず、保護者が財産を管理できなくなってしまうかもしれません。

しかし、子どもが未成年のうちに親権を使って任意後見制度を利用すれば、保護者が任意後見人になることが可能です。成人した後も引き続き財産管理ができます

未成年の子どもが障がいを持っている場合は、任意後見制度の利用をおすすめします。

後悔やトラブルを避けるために!任意後見制度の利用を検討する際に注意すべきポイント

 任意後見制度の利用を検討する際に注意すべきポイント

任意後見制度の利用を検討する際には注意すべきポイントが5つあります。

  • 判断能力があるうちにしか利用ができない
  • 契約を締結したらすぐに利用できるというわけではない
  • 契約開始時には後見監督人の監督下で財産を管理する必要がある
  • 代理権は契約で定めた範囲のみ
  • 任意後見人と任意後見監督人への報酬が発生する

利用後に後悔したり、トラブルが起きたりするのを避けるためにも、理解しておきましょう。

判断能力があるうちにしか利用ができない

任意後見制度は、判断能力があるうちにしか利用できません。

認知症や知的障がいなどによって判断能力を失ってしまうと、法定後見制度しか利用できなくなってしまいます。

指定した人に後見を依頼したい場合や、依頼したい内容が決まっている場合は、判断能力があるうちに任意後見制度を利用することをおすすめします。

契約を締結したらすぐに利用できるというわけではない

任意後見制度は、契約を締結しただけでは利用できません。契約の効力を発生させる必要があります。将来型の任意後見について契約を締結していても、本人の判断能力が低下してすぐに後見が開始されるわけではなく、効力を発生させるためには家庭裁判所への申立てが必要です。

家庭裁判所への申立てには、準備のための時間や手間がかかります。また、申立てをしたあと、任意後見監督人が選任され後見登記されるまで、さらに2〜3週間ほどかかります

このように、契約を締結したらすぐに利用できるというわけではないことに注意しましょう。

契約開始時には後見監督人の監督下で財産を管理する必要がある

任意後見契約が始まると、任意後見人は任意後見監督人の監督下で財産を管理しなければなりません。

任意後見人は実施した職務内容を任意後見監督人に報告する義務があり、本人の希望であっても、任意後見監督人が認めない場合もあります

この状況が人によっては窮屈に感じられたり、管理されているような感覚を受けたりすることもあるため、注意してください。

代理権は契約で定めた範囲のみ

任意後見代理人がもつ代理権は、任意後見契約で定めた範囲でしか有効になりません。

そのため、当然に任意後見契約での利用が想定される場面でも、契約書に記していなければ代理できないのです。

もし契約の不備に気づき、新たに契約を結び直そうとした場合に、被後見人の判断能力が低下していれば任意後見契約を新たに結ぶことはできません。

任意後見契約が結べないと、法定後見制度を利用するしかなくなり、同じ人が後見人になれない可能性もあるため、契約内容は慎重に確認するようにしましょう。

任意後見人と任意後見監督人への報酬が発生する

任意後見人と任意後見監督人への報酬が発生する点にも注意してください。

任意後見人への報酬は月額2〜6万円程度、任意後見監督人への報酬は月額1〜2万円程度です。

法定後見制度よりも支払う報酬額が多くなってしまい、これを死ぬまで支払い続ける必要があるため、負担が大きくなるでしょう。

ただし、任意後見人に親族がなる場合は状況によって報酬が変わり、中には報酬を辞退する任意後見人もいます。

成年後見人に親族がなる場合は報酬も事前に確認しておくことをおすすめします。

任意後見制度とセットでの利用を検討した方が良い契約

訪問

以下の4つは、任意後見制度とセットでの利用を検討した方が良い契約です。

  • 見守り契約
  • 財産管理契約
  • 任意代理契約
  • 死後事務委任契約

「見守り契約」

任意後見契約を締結する場合、効力を発生させるためには本人の判断能力が低下した後、裁判所への申し立てが必要です。

しかし、近くに住んでいない場合、本人の判断能力が低下していることに気づくのが遅れる可能性があるでしょう。

その場合に、見守り契約を締結しておくことで、定期的にコミュニケーションを取ることで状況を確認してくれるため、任意後見契約の効力を発生させるタイミングを逃さずに済むメリットがあります。

「財産管理契約」

財産管理契約は、日頃の財産管理を代理してもらう契約のことです。

任意後見契約と似た制度ですが、いつからでも始められるため、判断能力が低下する前、すなわち任意後見契約の効力が発生する前から利用できます。

しかし、任意後見契約とは異なり監督者がいないため、場合によっては好き勝手に財産を使われてしまう可能性があるのです。

契約で取り決めをしておくなど対策をすることで、大きなトラブルに発展しないように注意する必要があるでしょう。

「任意代理契約」

任意後見契約では判断能力が低下した後しか効力を発生できません。

しかし、判断能力はあるのに入院してしまって、身体を動かすことが出来ない場合もあるでしょう。

この際は任意代理契約を結ぶことをおすすめします。

財産管理契約では財産の管理しか出来ませんが、任意代理契約では手続きなどの法律行為を代理してもらうことができるため、お互いを補い合うことで万全な準備ができるでしょう。

「死後事務委任契約」

任意後見契約は被後見人が死亡すると効力を失うため、死後の対処、例えば葬儀や施設の対処費用などのことまで契約で決めることは出来ません。

そのため、希望する対処方針があっても任意後見契約では実現できない可能性が高いのです。

そこで、死後事務委任契約を結び、死後の対処を誰にしてもらうかどのような方針で行うのかを決めておけます。

これにより、被後見人の望んだような手続きができるメリットがあるのです。

家族信託をご検討中の方へ

家族信託 無料相談

認知症による資産凍結問題は1人で悩んでも問題は解決しません。わからないことは家族信託のプロに無料で相談してみませんか?

家族信託コーディネーターが、ご家族に寄り添い、真心を込めて丁寧にご対応します。お客様のご状況に合わせて最適な方法を幅広くご提案・サポートいたします。

お気軽にまずは無料相談をご活用ください。

家族信託をご検討中の方へ

認知症による資産凍結問題は1人で悩んでも問題は解決しません。わからないことは家族信託のプロに無料で相談してみませんか?

家族信託コーディネーターが、ご家族に寄り添い、真心を込めて丁寧にご対応します。お客様のご状況に合わせて最適な方法を幅広くご提案・サポートいたします。

お気軽にまずは無料相談をご活用ください。

電話受付時間:9:00〜18:00(平日)

任意後見制度についてのよくある質問

任意後見制度についてのよくある質問

最後に、任意後見制度についてのよくある質問を紹介します。

任意後見人に依頼できる内容の範囲は?

任意後見人に依頼できる内容の範囲は、財産管理や法律行為の代理、身上保護に限られています。

具体的には以下のような内容が挙げられるでしょう。

  • 財産の管理
  • 税金や公共料金、介護費用などの支払い
  • 介護の申請や医療・介護などにおける手続き
  • 本人がすべき法律行為(遺産分割協議など)

任意後見契約を途中で取りやめたり変更することはできますか?

契約の取りやめは可能です。

任意後見監督人選任前は公証人の認証のある書面で行い、選任後は家庭裁判所の許可が必要です。

契約の変更は代理権にかかわる内容であれば変更できません。

その他の場合は、公証人の認証のある書面で行います。

なお、代理権にかかわる内容を変更したい場合は新たに契約を結び直すことで変更が可能です。

判断能力が低下する前から財産管理などをお願いしたいのですが

判断能力が低下する前から任意後見契約の効力を発生させることは出来ません。

そのため、判断能力が低下する前から財産管理をお願いする場合は、通常の委任契約を締結することになるでしょう。

委任契約と任意後見契約の2つを結んでおくことで、判断能力が低下する前も低下した後も財産管理をお願いできます。

後見人がつくと戸籍に載るのでしょうか?

後見人がつくことは戸籍には乗りません。

しかし、任意後見契約公正証書を作成する際、公証人が法務局に嘱託することで登記がなされます。

登記がなされることで、自分が後見人であることの証明になるでしょう。

まとめ:任意後見制度に不安があるなら専門家に相談しよう

任意後見制度に不安があるなら専門家に相談しよう

任意後見制度にはメリットもあれば、デメリットもあります。

しかし、対策をしておけば防げるものも多いため、どのようなデメリットがあるのか、どのような対策方法があるのかを理解しておくことが大切です。

ファミトラでは任意後見制度に類似した家族信託にまつわる相談を受け付けています。

任意後見制度を利用すべきなのか知りたい方や家族信託との違い、どちらを利用したほうが良いのかなどを知りたい方はお気軽にお問い合わせください。


ファミトラでは、家族信託にまつわるご相談を受け付けております。

家族信託 無料相談

家族信託に限らず、本記事で解説したような相続税対策を考える際の手段の一つとして、「家族信託」を利用するなど、お客様のご状況に合わせて最適な方法を幅広くご提案・サポートいたしますので、家族信託に興味がある方は、ファミトラまでぜひご相談ください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

小牟田尚子 小牟田尚子 家族信託コーディネーター®

化粧品メーカーにて代理店営業、CS、チーフを担当。
教育福祉系ベンチャーにて社長室広報、マネージャーとして障害者就労移行支援事業、発達障がい児の学習塾の開発、教育福祉の関係機関連携に従事。
その後、独立し、5年間美容サロン経営に従事、埼玉県にて3店舗を展開。
7年間母親と二人で重度認知症の祖母を自宅介護した経験と、障害者福祉、発達障がい児の教育事業の経験から、 様々な制度の比較をお手伝いし、ご家族の安心な老後を支える家族信託コーディネーターとして邁進。

家族信託 無料相談

1人で悩んでも問題は解決しません。わからないことは家族信託のプロに無料で相談してみませんか?

お客様のご状況に合わせて最適な方法を幅広くご提案・サポートいたしますので、家族信託に興味がある方は、ファミトラまでぜひご相談ください。

お気軽にまずは無料相談をご活用ください。

家族信託 無料相談

1人で悩んでも問題は解決しません。わからないことは家族信託のプロに無料で相談してみませんか?

お客様のご状況に合わせて最適な方法を幅広くご提案・サポートいたしますので、家族信託に興味がある方は、ファミトラまでぜひご相談ください。

お気軽にまずは無料相談をご活用ください。

電話受付時間:9:00〜18:00(平日)

目次