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生前整理には、やってはいけないことがあります。
生前整理で注意すべきポイントを外すと、途中で挫折したり、相続時のトラブルにつながったりします。
作業量の多さのみならず、遺族への配慮も大切になる点が、生前整理の難しさです。
この記事では、生前整理をする上での注意点を解説します。
生前整理で失敗したくない方は、ぜひ参考にしてみてください。
生前整理の基本を理解しましょう。
生前整理の位置付けやメリットを知ると、生前整理をする動機が明確になります。
生前整理とは終活の一環であり、持ち物や人間関係を整理することです。
持ち物や人間関係の整理そのものは、終活に関係なく実践する人もいるでしょう。
しかし生前整理は、人生の最期をより良い形で迎えることにフォーカスする点が特徴です。
終活作業の一部が生前整理ともいえるかもしれません。
的を射た生前整理は終活の成功につながりますが、間違った生前整理は終活が失敗に終わる可能性があります。
作業に共通する部分はあっても、終活に影響する点で、単なる断捨離や人間関係の整理とは異なります。
生前整理で間違いを犯さないことが、終活で成功をおさめるためのポイントになるでしょう。
生前整理の具体的なメリットは、次の通りです。
生前整理は断捨離と重なる部分があり、取り組みやすい作業といえます。
不要な物の処分・売却により、部屋が片付いたり、お小遣いが手に入ったりします。あるいは、頭の中がクリアになり、人生でやるべきことが明確になることもあるでしょう。
また、不要な物の処分により、財産目録がつくりやすくなります。財産目録の作成は、相続対策を考える上で役立ちます。
その他、人間関係が整理されストレスから解消されたり、死後の遺族の負担が減ったりするメリットも考えられるでしょう。
生前整理をする際に注意したいのは、相続放棄です。
生前整理が原因で、遺族が相続放棄できなくなる可能性があるからです。
生前整理の方法として、死後の遺品の処分を遺族に任せるという選択があります。
例えば、被相続人が指輪を所持しているとして、死後、その指輪を処分するよう長女に伝えたとします。
約束通り、被相続人の死後、長女は指輪を売却するでしょう。
しかし、指輪の売却後、長女による相続放棄は否定される可能性があります。
長女の指輪の売却行為は「相続財産の全部または一部を処分(民法第921条1号)」に該当し、相続を承認したと見なされる恐れがあるからです。
長女が相続を望む場合は、相続の承認をしたと見なされても問題ないでしょう。
しかし、長女が相続放棄を望んでいた場合、長女にとっては思わぬ事態になります。
特に、被相続人に多額の借金があった場合は注意が必要です。相続承認の結果、長女は、借金も同時に引き受ける結果になるからです。
生前整理の一環として、遺品の処分を遺族に任せる場合、相続放棄との関係に気を付ける必要があります。
親の生前整理を手伝う上で、やってはいけないことがあります。
家族の協力があると、生前整理はよりスムーズに進みやすくなります。
しかし注意点を守らないと、親子間の仲がギクシャクし、かえって逆効果になることもあるでしょう。
断捨離作業を手伝う際は、持ち物について否定的な意見を述べないようにしましょう。
物の要・不要の判断は、本人の気持ちを尊重すべきだからです。
他人からは不要に思える物であっても、本人にとっては手放せない物もあるでしょう。経済的価値のない物であっても、人が手にするものには各々のストーリーがあります。
人の持ち物を否定する言葉は、他人の思い出や価値観の否定につながりかねません。
本人が必要と判断した以上、その判断には意見しないのが賢明です。
なお整理に当たっては、プロのアドバイザーを頼るのも1つの手です。日額1万円程度で、整理の手順や片付けのコツについて、プロからアドバイスを得られます。
プロのアドバイザーであれば、親も素直になる可能性があるでしょう。
必要以上に片付けを急かすのは控えましょう。
生前整理は、思いのほか作業が多く、腰が重くなるのも当然です。
作業を急かすと、本人が焦ってしまい、余計に物事がうまく運ばなくなる可能性もあります。
急いでもらいたい場合は、作業を限定して伝えると良いかもしれません。
処分してほしい物を特定したり片付ける場所を特定したりと、作業内容をできるだけ明確にすれば相手も行動しやすくなります。
また、作業を促す際は、理由を付け加えることも大切です。
生前整理するメリット、あるいは生前整理をしないデメリットを具体的に示すと、親も納得しやすくなります。ただし、理由を伝える際は感情的にならないようにする必要があります。
本人の持ち物を勝手に捨てるのはNGです。
どんな理由があるにせよ、自分の持ち物を勝手に処分されると、人は気分を害します。
特に、お金で買えない物は要注意です。
他人にとっては価値のない物であっても、本人にとってはかけがえのない物である可能性があります。もしかしたら、友人や昔の恋人からもらったプレゼントかもしれません。
また、処分のみならず、整理についても慎重になりましょう。
人によっては、家族といえども、他人の目に触れられたくない物もあるでしょう。整理の途中で、そういったプライベートに関する物が、家族の目に触れる危険もあります。
処分・整理のいずれについても、勝手な行動は慎みましょう。
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生前整理を進める手順を紹介します。
手順に沿って、テンポよく進めることが大切です。
生前整理で最初にやるべき作業は断捨離です。
断捨離を済ませておくと、物が少なくなり、その後の作業が楽になるからです。
また、断捨離は、誰にとっても、取り組みやすい作業といえます。断捨離は、基本、大掃除と同じだからです。ウォーミングアップの意味でも、断捨離は最初の作業に適しています。
不要な物をメルカリなどで売ればお小遣いにもなり、人によっては断捨離は楽しい作業になるでしょう。
生前整理を実践する際は、断捨離からスタートしましょう。
なお、場合によっては、人間関係の整理も断捨離に含まれます。付き合う人間を本当に大切な人に絞る結果、余計なエネルギーを使わなくて済むようになります。
断捨離で不要な物を処分した後は、財産の整理をしましょう。
財産の整理は、所有財産の具体的な状況を把握する作業です。
所有財産の種類や、財産ごとの価値(金銭的価値)を一覧にして、リスト化しましょう。
一般的には、次の財産が整理の対象になります。
財産の種類によっては、即座に価値を判断できない項目もあります。不動産や自動車、骨董品などは、査定や鑑定が必要になるかもしれません。
財産整理の作業をどこまで正確にやるべきかは難しいところです。財産の価値は常に変動するため、生前整理時と相続時では金額も異なります。
もっとも、将来的に相続税発生の見込みの高い方は、より精度の高い財産整理が望まれます。相続税対策などの相続に関して、何らかの対策を取る必要性が高いからです。不用品回収サービスについてはこちらも参考にしてみて下さい。
貴重品は1つにまとめましょう。
相続後、貴重品の発見が容易になり、遺族の負担が軽くなるからです。
貴重品がバラバラだと、相続時の遺族の負担が増大します。死後の遺族の負担を重くしないためにも、貴重品を見つけやすくする工夫は大切です。
貴重品を見つけてもらう方法としては、口頭で伝える、遺言やエンディングノートに記すなどの手段が考えられます。
貴重品以外に重要書類なども一緒にしておくと、死後の事務手続きがよりスムーズになるかもしれません。
必ずしも1カ所にまとめる必要はないかもしれませんが、重要なものは確実に遺族に見つけてもらうという視点は重要です。
必要に応じて、遺言書を作成しましょう。
遺産承継に関して特定の希望がある場合は、遺言書の作成は特に重要です。
遺言は全部で3種類あり、どれにするか迷うかもしれません。
お金をかけず、お手軽に遺言書を作成したい場合は、自筆証書遺言がおすすめです。
しかし自筆証書遺言は、書き方を間違えると無効になり、要式改ざん・紛失のリスクもあります。
確実性を期待するなら、公正証書遺言なども選択肢に入れましょう。
遺言の作成で悩む場合は、弁護士や司法書士などの専門家への相談がおすすめです。
なお、認知症進行後に作成された遺言は、無効と判断される危険があります。状況によっては、遺言の作成を急ぐ必要があるでしょう。
家族に伝えたておきたい内容があれば、エンディングノートに書き記しておきましょう。
エンディングノートに書く内容は自由です。
家族に伝えたい心情を書きつづるのはもちろん、口座番号やID・アカウント情報など、必要な情報をメモするのでも構いません。
エンディングノートは、遺言と異なり要式が存在せず、記載内容に法的効力も生じません。
肩肘を張らずに、気になった内容をメモしていきましょう。エンディングノートに考えをまとめているうちに、良いアイディアが思いついたり、新たな視点を発見したりする場合もあります。
なお、エンディングノートはどのタイミングで作成しても構いません。
エンディングノートの作成を、あえて最初に持ってくる方法もあります。順番にこだわらず、他の作業と並行して、エンディングノートの作成を進めても良いでしょう。
生前整理を行う際のポイントを解説します。
紹介するポイントを押さえて生前整理を実行すれば、トラブルを避けつつ、効率的に作業を進められます。
財産整理の作業の注意点として、デジタル遺産の存在があります。
デジタル遺産は、デジタル形式で保存された財産です。
例えば、仮想通貨や電子マネー、デジタルアートなどがデジタル遺産の具体例として挙げられます。
不動産や現金と異なり、デジタル遺産は無形であるゆえ、財産として認識されにくいのが特徴です。
しかしデジタル遺産も、相続財産に含まれます。
遺族のためにも、デジタル遺産の存在を見過ごさないようにしましょう。
デジタル遺産を相続財産に含めなかった事実が、遺産分割のやり直しや、相続税追徴につながるケースもあります。
相続時のトラブルを避けるためにも、デジタル遺産の有無は重要なチェックポイントと言えるでしょう。
生前整理には、一気に全てを進めようとしない姿勢も求められます。
生前整理は、思いのほか作業量が多いからです。
一気に進めようとすると、作業量に圧倒されて、挫折する恐れがあります。
また、短時間で終わらせようとするあまり、判断が雑になる可能性もあるでしょう。
一気に進めようとせず、まずは断捨離から始めましょう。
断捨離をする際も一日で済ませようとせず、今月はリビング、来月は個室といった具合に、複数回に分けると無理なく進められます。
生前整理の作業量は多く、項目も多岐にわたります。短期間で終わらせようとせず、ある程度の期間を設け、計画的に進めるようにしましょう。
生前整理は、専門の業者に依頼できます。
自力では難しいと感じる場合は、専門業者の力を借りましょう。
処分する物の量が多かったり、持ち運び困難な物を処分したりする場合に役立ちます。
また、プライバシーに関わる内容も、専門業者への依頼で解決する場合があります。
誰にも見られたくない画像やデータの管理・削除は、家族にも任せたくないでしょう。その場合は、専門業者に依頼し、自分の死後に削除するようお願いしましょう。死後になって、個人的な秘密が漏れるのを防げます。
専門業者を上手に活用するのも、生前整理をスムーズに進めるコツです。
ただし、何から何まで業者に依頼するとなると、それなりのコストもかかります。
業者に依頼するのは、自力では困難な部分に限定したほうが無難です。無駄なお金を支払わずに済みます。
生前整理には、注意すべきポイントがいくつかあります。
やってはいけないことをやってしまうと、相続放棄が制限されたり、遺産分割がやり直しになったりと、相続人に迷惑がかかるため注意しましょう。
生前整理は、本人の死後、遺族が置かれる状況を意識しながら進めましょう。
生前整理に限らず、終活や相続に関する事項には、注意すべきポイントが多くあります。
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