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配偶者居住権ってどんな制度?メリットや利用するときの注意点を解説

配偶者居住権ってどんな制度?

2020年にスタートした配偶者居住権について解説します。配偶者居住権は、夫(または妻)亡き後の配偶者を守る上で、重要な権利です。

しかし、配偶者居住権には、デメリットや注意点もあります。配偶者居住権の設定を検討する際は、家族信託など他の制度と比較検討しながらの導入をおすすめします。

この記事の監修者

田中 総
(たなか そう)
司法書士

2010年、東証一部上場の不動産会社に新卒で入社し、10年以上に渡り法人営業・財務・経営企画・アセットマネジメント等の様々な業務に従事。
法人営業では遊休不動産の有効活用提案業務を担当。

経営企画では、新規事業の推進担当として、法人の立ち上げ、株主間調整、黒字化フォローの他、パートナー企業に出向して関係構築などの業務も経験。
司法書士資格を取得する中で家族信託の将来性を感じ、2021年6月ファミトラに入社。

目次

配偶者居住権とは?設定できる条件など基本をわかりやすく解説

家の疑問

配偶者居住権の基本事項を解説します。効果、設定条件、存続期間など、配偶者居住権の機能を確認しましょう。

配偶者居住権を取得した場合の効果

配偶者居住権は、配偶者が亡き夫(または妻)名義であった自宅に相続後も住み続けることを認める権利です。

配偶者居住権を取得すると、被相続人が所有していた不動産(建物・土地)の所有権を相続しなくても、無償で住み続けられます。

なお、配偶者居住権には存続期間がなく、別段の定めがない限り死亡するまで住み続けられます。

配偶者居住権の制度がつくられた背景

配偶者居住権の創設以前は、配偶者が自宅に住み続けるには次の手段しかありませんでした。

  • 自宅を相続する
  • 自宅を相続した相続人から有償または無償で借りる

自宅を相続し所有権者になれば、生活の拠点は確保できます。
しかし、自宅を相続しても、生活費の問題が残ります。

残された配偶者に十分な収入や預貯金がない場合、自宅以外に預貯金も相続したいところです。住まいを確保できても、預貯金がなければ生活維持は困難だからです。

しかし、自宅も預貯金もどちらも相続するとなると、他の相続人との間で不公平が生じやすくなります。自宅を相続すれば預貯金を諦める結果になり、預貯金を相続すれば自宅を諦める結果になります。

預貯金を相続し自宅は借りる手もありますが、賃貸すれば賃料が発生します。無償で借りる手段もありますが、使用貸借(無償で借りる契約)は、自宅を第三者に売却されると買主に対抗できないため権利として弱いです。

この点、自宅を相続せず配偶者居住権のみを取得すれば、生活の拠点を確保しつつ預貯金も相続できる可能性が高くなります。
配偶者居住権は所有権と異なり、資産価値が少なく見積もられるためです。

配偶者居住権が設定できる条件

配偶者居住権が設定できる条件は、次のとおりです。

  • 相続発生時に自宅に住んでいた被相続人の法的な配偶者であること
  • 相続発生時に被相続人と配偶者以外の者が自宅の所有権を持っていないこと
  • 配偶者居住権を取得させる遺産分割などが行われたこと

相続発生時に自宅に住んでいた被相続人の法的な配偶者であること

配偶者居住権を取得できる者は、法的な配偶者である必要があります。内縁の妻や事実婚の配偶者は対象外です。

また、居住権付与のためには、相続時点で実際に生活の本拠として使用されていた事実が必要です。別居していた配偶者は、配偶者居住権付与の対象外です。

相続発生時に被相続人と配偶者以外の者が自宅の所有権を持っていないこと

相続発生前に、第三者と共有されていた自宅は対象外です。
配偶者居住権の対象となるのは、被相続人の単独所有だった自宅、または被相続人と配偶者との共有だった自宅です。

配偶者居住権を取得させる遺産分割などが行われたこと

配偶者居住権を取得させる旨の、遺産分割など(遺贈・死因贈与を含む)が必要です。
相続があったからといって、当然に配偶者居住権が付与されるわけではありません。

配偶者居住権の存続期間

配偶者居住権の存続期間は、別段の定めがない限り終身です。
別段の定めにより期間を定めた場合、延長や更新はできません。

配偶者短期居住権との違い

配偶者居住権と同趣旨の権利として、配偶者短期居住権があります。

お互い似た制度です。しかし、配偶者短期居住権は、存続期間がある、登記できない、相続税が発生しないなど、配偶者居住権とは異なる特徴を持ちます。

配偶者居住権は相続税の対象

相続税

配偶者居住権は、相続税の対象です。
配偶者居住権は、期限もなく権利としては強い部類に入るゆえ、財産価値のある権利として扱われるためです。 

配偶者居住権を取得する配偶者は、配偶者居住権も相続財産に含まれる点を理解しておきましょう。配偶者居住権の存在は、相続税の算定に影響を及ぼします。

なお、配偶者居住権が設定される建物の所有権を相続する相続人にも、相続税は課されます。

配偶者居住権が設定されるとはいえ、財産(建物)の所有権を相続する事実に変わりはないためです。ただし、配偶者居住権が設定される分、建物の評価額は下がるため、一般的に相続税の負担は軽くなります。

配偶者居住権を設定するメリット4つ

メリット

配偶者居住権を設定するメリットを4つ紹介します。
配偶者居住権の設定で、他の相続人と公平性が保たれる点に注目しましょう。

配偶者が無償のまま継続して自宅に住める

配偶者居住権を取得した配偶者は、無償で死亡するまで自宅に住み続けられます。
賃料を払わずに済むため、夫(または妻)の死亡後も、生活が安定します。

配偶者が自宅以外の遺産を相続しやすくなる

配偶者居住権の設定により、自宅以外の遺産を相続しやすくなります。

配偶者居住権の本質は、あえて自宅を相続せず自宅に住む権利のみを取得できる点にあります。自宅そのものを相続してしまうと、自宅以外の遺産を相続するハードルが高くなるためです。

他に相続人がいる場合、自宅を相続する結果、預貯金を相続しづらくなります。配偶者1人で自宅と預貯金の両方を相続するのは、他の相続人にとっては不公平であるためです。

公平性を保つため預貯金は諦め、自宅のみを相続する場合もあるでしょう。
しかしその場合、生活資金が枯渇する危険がつきまといます。

この点、配偶者居住権を設定し自宅の所有権を他の相続人に譲れば、自宅に住みつつ、さらに預貯金も相続することで生活資金に充てることができます。

配偶者居住権は、自宅の所有権に比べて財産価値が低くなるためです。

また、配偶者居住権の設定は、自宅以外に相続財産がない場合にも有効です。
相続財産が自宅しかない状態で自宅を相続すると、他の相続人との不公平の解消を図るため、代償金の支払いが生じるためです。

配偶者居住権のみ取得し、自宅の所有権を他の相続人に相続させれば、代償金を払うことなく自宅に住めます。

遺留分侵害のリスクを緩和できる

配偶者居住権は、遺留分侵害リスクの緩和に繋がります。
他の相続人との不公平を解消できるためです。

一般的に不動産の資産価値は高いです。不動産をまるごと相続してしまうと、高い価値の財産を1人占めする形になり、他の相続人の遺留分を侵害する可能性が高くなります。

この点、配偶者居住権は配偶者が取得し、不動産の所有権は他の相続人が取得すれば、不動産の権利を1人の相続人がまるごと相続する事態を避けられます。

そのため、遺留分侵害が生じるリスクを抑えられるのです。

二次相続の相続税対策になる場合がある

配偶者居住権を設定すると、二次相続時の相続税が軽減される可能性があります。

たとえば、夫が死亡して妻が自宅を相続し(一次相続)、その後妻が死亡して子どもがその自宅を相続した(二次相続)とします。

この場合、自宅の相続は、一次相続、二次相続のいずれも相続税の対象となります。

他方で、一次相続では妻が自宅の配偶者居住権を取得し、子どもが所有権を取得した場合、二次相続(妻の相続)では子どもは自宅の所有権を取得する必要がありません。

子どもは一次相続で自宅の所有権をすでに取得しており、二次相続では妻の配偶者居住権が消滅するだけだからです。

このように、配偶者居住権を設定すれば、自宅の二次相続について相続税対策になる場合があります。

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配偶者居住権の設定にともなうデメリット・注意点5つ

デメリット

配偶者居住権の設定にともなうデメリット・注意点について解説します。
不用意に配偶者居住権を設定すると、思わぬ費用が発生するため注意しましょう。

配偶者居住権は、無償かつ死亡まで自宅に住み続けられる権利です。
しかし、デメリットもあるため、設定の際はメリットとデメリットを比較して検討する必要があります。

権利の譲渡や売却はできない

配偶者居住権は、譲渡や売却の対象にはなりません。
条文で「配偶者居住権は、譲渡することができない(民法1032条2項)」と定められているためです。

なお、売却はできませんが、第三者に使用・収益させることはできます。
ただし、第三者に使用・収益させる場合は、建物所有者の承諾が必要です。

独断ではでリフォームや賃貸ができない

配偶者居住権は、独断でリフォームや賃貸ができません。
リフォームや賃貸をする際は、建物所有者の承諾を得る必要があります。

民法で「居住建物の所有者の承諾を得なければ、居住建物の改築若しくは増築をし、又は第三者に居住建物の使用若しくは収益をさせることができない」と定められているためです(民法1032条3項)。

登記が必要

配偶者居住権を第三者に主張するためには、登記をする必要があります。

土地・建物を相続した所有者から明け渡しを求められても、配偶者居住権を主張し拒むことができます。この場合は、当事者の関係にあるため、拒否に際して登記は不要です。

ただし、自宅を相続した相続人が、第三者に所有権を譲渡した場合は、注意が必要です。

自宅の譲渡を受けた第三者から明け渡しを求められた場合、登記がされていないと、配偶者居住権を主張できません。
配偶者居住権を主張できない結果、自宅を出ていかなければならないリスクが生じます。

万が一のリスクを回避するためにも、配偶者居住権を取得したタイミングで、登記手続きも済ませましょう。

配偶者に固定資産税や維持管理費用の負担が発生する

配偶者居住権を取得した配偶者には、固定資産税や維持管理費用の負担義務が生じます。
配偶者居住権を取得した者は、居住建物の通常の必要費を負担すると、民法で定められているためです(民法1034条1項)。

なお、固定資産税が通常の必要費に含まれるかについては、争いがあります。

トラブルを避けるためにも、どの必要費につき誰が支払うのか、配偶者居住権設定のタイミングで協議しておくのが望ましいでしょう。

設定期間中に権利を放棄すると贈与税が発生する

配偶者居住権の存続期間中に権利の放棄がされると、贈与税が課税される可能性があります。
配偶者居住権の放棄で、放棄された権利が自宅所有者である家族に贈与されたとみなされるためです。

配偶者居住権を取得した配偶者が引っ越しする際は注意しましょう。
安易に配偶者居住権を放棄すると、贈与税の課税対象になり得ます。

家族関係が良好なら家族信託で死後の配偶者の居住権を守る方法もある

家族

家族関係が良好なら、家族信託で配偶者の居住権を確保する方法もあります。
家族信託でも配偶者居住権の設定と同様の効果を得られるためです。

また、自由度の高さでは、配偶者居住権の設定よりも家族信託が優ります。

配偶者居住権は権利の譲渡や売却ができません。引っ越しをするかもしれない場合は、家族信託を視野に入れましょう。

配偶者に配偶者居住権を与える代わりに、家族信託で配偶者に自宅不動産の受益権を与えておけば、夫(または妻)の死亡後も配偶者は自宅に住めます。

自宅が不要になった際は自宅を売却し、残された配偶者の介護費用に充てることもできます。

ただし、家族信託を選ぶ際は、家族関係が良好でなければなりません。
家族信託は受託者の存在が不可欠であり、受託者となる家族が非協力的だと、家族信託は機能しないためです。

また、家族信託は、配偶者居住権よりもコストの面で不利です。配偶者居住権の設定は、登記費用を除けばほとんどお金がかかりません。

配偶者居住権に関するよくある質問

よくある質問

配偶者居住権に関して、よくある質問に回答します。

相続発生時に配偶者が入院をしていた場合自宅に住んでいたことになりますか?

退院後に自宅に戻る予定がある限り、配偶者居住権の取得要件を満たします。

一時的な不在であれば、配偶者居住権付与の対象になると考えて良いでしょう。

配偶者居住権の登記は義務ですか?

配偶者居住権の登記は義務ではありません。

不動産の所有権や抵当権と同じく、登記はあくまで第三者に対する対抗要件です。

登記がなくても、配偶者居住権そのものは有効です。

ただし、登記を備えない以上、第三者に権利を主張できません。売却などにより自宅の所有権が第三者に移転した場合、登記を怠ったことで立ち退かざるを得なくなる危険が生じます。

配偶者居住権を取得した際は、なるべく早めに登記手続きを済ませましょう。

義務ではないため罰則などはありません。しかし、配偶者居住権を第三者に主張できない結果、生活の拠点を失うかもしれません。

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まとめ:配偶者居住権の創設で家庭の事情に合わせた相続がしやすくなった

手

配偶者居住権の創設で、家庭の事情に合わせた相続がしやすくなりました。
配偶者居住権の設定により、家族関係が悪くとも、夫(または妻)に先立たれた配偶者の生活が守られやすくなったためです。

家族関係が良好な場合は、家族信託の選択肢もあります。

配偶者居住権を設定すると、自宅を売却しづらくなる不都合が生じます。しかし、家族信託は自宅の処分の制限がかかりません。
配偶者居住権の設定を検討する際は、家族信託も併せて考えてみることをおすすめします。

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この記事を書いた人

田中総 田中総 家族信託コーディネーター®エキスパート 宅地建物取引士/司法書士

東証一部上場の企業で10年以上に渡り法人営業・財務・経営企画等の様々な業務に従事。司法書士資格を取得する中で家族信託の将来性を感じ、2021年6月ファミトラに入社。お客様からの相談対応や家族信託の組成支援の他、信託監督人として契約後の信託財産管理のサポートを担当。

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