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認知症対策に有効な家族信託の費用について、気になる方もいるのではないでしょうか。
認知症対策に活用できる方法には、遺言書や成年後見制度、銀行の家族信託サービスなどがあります。それらと比べて費用がどの程度なのか気になる方もいるでしょう。
そこで、本記事では家族信託の費用やランニングコストについて解説します。
遺言書や成年後見制度、銀行の家族信託サービスとの違いも、目安となる費用を用いながら解説します。
一般的な相場 | ファミトラ | |
---|---|---|
初期費用(専門家への報酬) | 信託財産の1% | 信託財産評価額が1億円以下の場合:55,000円(税込)から 信託財産評価額が1億円超の場合:信託財産評価額×0.165%(税込、割引あり) |
ランニングコスト | 月額1万円程度 | 信託財産評価額が1億円以下の場合:月額1,078円(税込)から 信託財産評価額が1億円超の場合:月額ベース料金×信託財産加算 |
家族信託の初期費用やランニングコストは高いのでしょうか。
ここでは、家族信託の初期費用やランニングコストの種類や相場について解説します。
そもそも家族信託とはどのようなものであるのかを知りたい方は、以下の記事をあわせてお読みください。
家族信託の手続きにかかる費用には、主に以下の2種類があります。
それぞれの費用の概要や金額の相場について解説します。
公正証書は、家族信託の契約書が法的に有効であることを担保できるものです。
家族信託の契約書は、必ずしも公正証書で作る必要はありません。
しかし、法的な有効性を担保できるだけでなく金融機関から提出を求められることが多いです。そのためほとんどの場合、公正証書で作成されます。
公正証書を作成するには、公証役場に対して手数料を支払わなければなりません。
信託財産額や契約内容により手数料は異なりますが、相場は3〜10万円程度です。
信託財産に不動産が含まれていると、不動産登記手続きが必要です。
具体的には、不動産の名義を委託者から受託者に書き換え、当該不動産が信託されたことを明示する必要があります。
名義の書換え(所有権移転登記)については課税されませんが、信託登記を行うには登録免許税がかかります。
登録免許税は、土地ならば固定資産税評価額の0.3%、建物ならば固定資産税評価額の0.4%です。
例えば、固定資産税評価額が5,000万円の建物について信託登記をする場合の登録免許税は、20万円です。
公正証書の作成や不動産登記を自身で行うことは簡単ではありません。
また、家族信託の契約内容を決めることも自身で行うことは難しいため、専門家に依頼することが一般的です。
それぞれの場合における相場は以下の通りです。
家族信託のコンサルティング費用は、信託財産が5,000万円だとすると50万円程度必要になります。
なお、ファミトラでは、信託財産評価額が1億円以下ですと、55,000円(税込)からご利用いただけます。
家族信託は、利用を始める際の手続きに費用を支払う必要がありますが、利用を始めた後のランニングコストは基本的にかかりません。
しかし、受益者の権利を代理する「受益者代理人」や家族信託において受託者を監督する「信託監督人」を選任する場合、ランニングコストがかかります。
それぞれの費用について、見ていきましょう。
受益者代理人とは、文字通り受益者の権利を代理する人のことです。
受益者の判断能力が低下・喪失したりすると、受託者に資産運用方法や財産給付などについて指示できなくなります。
そこで、受益者代理人を設定しておくことで、受益者の判断能力が低下・喪失しても、受益者に代わって資産運用や財産給付について指示できるのです。
受益者代理人を依頼する際の相場は、月額1万円程度です。
ファミトラでは信託財産評価額が1億円以下ですと、月額1,078円(税込)からご利用いただけます。
なお、受益者代理人は強い権限を持つため、トラブルにならないように親族間で議論した上で設けるようにしてください。
信託監督人とは、受託者が信託事務を適切に行っているか監督する人のことです。
信託監督人も、受益者代理人同様、受益者の判断能力が低下・喪失した場合に、有効に活用できます。
信託監督人の報酬も、受益者代理人と同様、月額1万円程度が相場です。ファミトラでは、信託財産評価額が1億円以下ですと、月額1,078円(税込)からご利用いただけます。
なお、受託者による不正防止のため、信託監督人の選任を必須にしている専門家もいるので、事前に確認しておくことがおすすめです。
家族信託の初期費用やランニングコストは、他の制度の費用やランニングコストと比べて安いのでしょうか。
ここでは、以下の3つの方法と費用の比較をします。
まずは、家族信託と遺言書の作成との比較について解説します。
遺言書とはどのようなものか、家族信託と遺言書との費用・ランニングコストの違いについて見ていきましょう。
遺言書とは、本人の死後の財産承継の方法などについて本人の意思を表示するための書類です。
遺言書の効力は強く、遺言書に財産承継の方法について記載されている場合、最低限受け取れる遺留分を侵害しなければ、法律で定められている配分(法定相続分)よりも遺言書の内容が優先されます。
遺言書の効力は本人の死亡時に発生するのに対し、家族信託契約の効力は契約締結後すぐに発生する点が大きな違いです。
家族信託の手続きは、総額で60万円〜100万円ほどかかる場合がほとんどです。
一方、遺言書は民法で定められた様式で作成すれば良いため、専門家に依頼する場合でも最低10万円ほどで済む場合もあります。
加えて、家族信託は月額1〜2万円ほどのランニングコストがかかる場合もありますが、遺言書ではランニングコストはかかりません。
そのため、家族信託と遺言書の費用を比較すると、遺言書のほうが安くなります。
続いて、家族信託と成年後見制度との比較について解説します。
成年後見制度とはどのような制度か、家族信託と成年後見制度との費用・ランニングコストの違いについて見ていきましょう。
成年後見制度とは、本人の判断能力が低下した場合に、財産管理や身上保護により本人の生活をサポートする制度です。
身近な例では、認知症を発症してしまった親の預金を引き出したい場合などに利用されます。
家族信託では、契約で定めれば広い範囲で財産管理をすることが認められているため、資産運用や相続税対策もできます。
一方、成年後見制度は本人の財産を守ることが目的であるため、認められている財産管理方法が少ないです。
また、家族信託を利用するには本人の判断能力が十分なうちに契約しておくことが必要です。一方、成年後見制度は、本人の判断能力が低下した後に利用する制度であるなど、様々な点に違いがあります。
初期費用を比べると、家族信託が60〜100万円ほどであるのに対し、成年後見制度は10〜30万円ほどです。
ランニングコストは、家族信託はほとんどの場合で支払う必要がなく、高くても2万円ほどです。
一方、成年後見制度では、毎月2〜6万円ほどのランニングコストを支払う必要があるため、ランニングコストの観点から見ると成年後見制度のほうが負担が大きくなります。
利用する期間が短ければ成年後見制度のほうが割安ですが、長期で利用すると家族信託のほうが割安といえます。
次に、家族信託と銀行の家族信託サービスとの比較について解説します。
銀行の家族信託サービスとはどのようなものか、家族信託と銀行の家族信託サービスとの違いについて見ていきましょう。
銀行の家族信託サービスとは、銀行にお金を預け、一定条件を満たすと預けたお金を支給してもらえるサービスであり、家族信託契約とは全く異なる制度です。
銀行にお金を預けられるため、元本が保証される安心感があります。
しかし、多くの場合は数百万円以上からしか利用できないため、少額での利用ができません。
さらに、商品として提供されている場合がほとんどであるため、商品の内容に沿った設計しかできない点もデメリットだといえます。
家族信託と銀行の家族信託サービスとの大きな違いは、かかる費用です。
家族信託はランニングコストがほとんどかかりませんが、銀行の家族信託サービスでは管理費用、手数料、信託報酬などが発生します。
具体的には初期費用が数十万円、ランニングコストが毎月数万円ほどかかります。
銀行に預けられる安心が得られる一方、費用が大きくなる点に注意してください。
家族信託を利用すると、家族信託を利用しない場合より節約になるのかについて、実例を用いながら解説します。
ここでは、親が所有する固定資産税評価額が3,000万円の家を家族信託する場合について考えてみましょう。
家族信託を利用しない場合、所有者である親が認知症になると家が売却できなくなります。そのため、固定資産税や維持管理費、火災保険料を支払い続けなければいけません。
相続発生までに10年間かかるとすると、およそ280万円ほどの支払いが発生します。
一方、家族信託を利用して半年間ほどで売却できれば、ランニングコストは14万円ほどで済みます。
専門家への依頼費用を含めた初期費用は約50〜80万円ほどかかりますが、家族信託を利用しない場合の費用(およそ280万円)と比べると、かなり安いことがわかるでしょう。
このように、家族信託を利用すると利用しない場合より結果的に節約になる場合もあります。
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節約になるといっても、費用が安いに越したことはありません。
そこで、家族信託の費用を安く抑える3つの方法について解説します。
それぞれの方法について理解しましょう。
1つ目は、契約書作成や登記手続きを自分で行う方法です。
契約書作成や登記手続きは、法律の専門知識がないとトラブルに発展する可能性もあるため、専門家に依頼することをおすすめします。
しかし、専門家に依頼する場合、専門家への費用を支払う必要があるため、その分家族信託を利用するのにかかる費用が多くなります。
そのため、契約書作成や登記手続きを専門家に依頼せず、自分で行うことで費用を抑えられるでしょう。
ただし、法律知識のない方が自身で契約書作成や登記手続きをすると、トラブルに発展する可能性が高いため、十分に注意してください。
2つ目は、専門家の報酬を比較して安いところに依頼する方法です。
専門家の報酬には相場がありますが、必ずしも全ての専門家が相場通りの料金設定をしているわけではありません。
相場よりも低い料金で依頼できる専門家もいれば、相場よりも高い料金でしか依頼できない専門家もいます。
そのため、専門家の報酬を比較して、なるべく安いところに依頼することで、家族信託を利用する際に支払う費用を抑えられます。
なお、料金が相場より低い場合、サービスレベルが低い可能性もあるため、注意が必要です。
3つ目は、信託契約書を公正証書にせず確定日付のみもらう方法です。
信託契約書は公正証書で作成するのが一般的ですが、私文書での作成も可能です。
しかし、私文書で作成し、信託契約を締結した日のみを確定してもらう方法だと、公正証書のように、契約書の内容に高い信用性を持たせることができません。
あくまでも、日付の証明にしか使えないため、証拠として機能しない場面が多くあるのです。
加えて、公正証書を作成すると、公証役場に原本が保管されるため、万が一謄本を紛失した場合でも再発行できます。
しかし、私文書で作成すると公証役場に保管されません。公正証書の場合と異なり、原本を紛失すると再発行できないのです。
公正証書にせず確定日付のみをもらう場合、このようなリスクがあることを十分に理解してください。
最後に、家族信託の費用に関するよくある質問を4つ紹介します。
家族信託の費用について疑問点のある方は、ぜひ参考にしてみてください。
家族信託の契約内容によってかかる費用は違います。
公正証書の作成手数料や信託登記の登録免許税は、信託財産の額や固定資産税評価額によって変動します。
また、専門家への依頼費用も信託財産の額によって異なるため、家族信託の費用は契約内容によって異なるといえるでしょう。
家族信託の費用を減らしたい場合は、信託財産を限定することをおすすめします。
家族信託の費用は、原則として信託財産から支払われます。
また、信託財産を運用、売却した際に生じる利益については、受益者に課税されます。
家族信託により利益を得るのは受益者であるため、家族信託では「受益者課税の原則」が採用されているからです。
家族信託には、直接的な節税効果は期待できません。
たとえば自益信託の場合、信託契約の前後で信託財産の受益者は変わっていないため、受益者が死亡すれば相続税の課税対象になります。
しかし、家族信託を契約することで、判断能力が低下しても信託財産を組み替えることができ、それによって相続税評価額が低下すれば、相続税の額が小さくなるなど、間接的な節税効果は期待できます。
家族信託を自分で手続きすることのリスクはあります。
信託契約書を作成する際には、適切な法律知識がなければ自分が意図しない契約内容になってしまう可能性があります。
また、不動産登記手続きも、内容が複雑であるため、適切な法律知識がなければ的確な登記をすることは困難です。
法律知識はすぐに修得できるものではないため、法律知識に不安のある場合は迷わず専門家に依頼することをおすすめします。
家族信託を利用するには、初期費用だけで60万円〜100万円ほどかかる場合が多くあります。
家族信託にかかる費用の大部分を専門家への報酬が占めているため、コストパフォーマンスの高さも相談先選びの要素の1つになるでしょう。
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東証一部上場の企業で10年以上に渡り法人営業・財務・経営企画等の様々な業務に従事。司法書士資格を取得する中で家族信託の将来性を感じ、2021年6月ファミトラに入社。お客様からの相談対応や家族信託の組成支援の他、信託監督人として契約後の信託財産管理のサポートを担当。
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