サービス付き高齢者向け住宅とは|種類別の特徴と費用の目安を解説

サービス付き高齢者向け住宅とは
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2011年に始まったサービス付き高齢者向け住宅ですが、入居条件やサービス内容を知らない方も多いのではないでしょうか。

この記事では、サービス付き高齢者向け住宅の特徴や入居条件、提供されるサービスについて解説しています。
サービス付き高齢者向け住宅に興味のある方は、ぜひ最後までお読みください。

この記事の監修者

田中 総
(たなか そう)
司法書士

2010年、東証一部上場の不動産会社に新卒で入社し、10年以上に渡り法人営業・財務・経営企画・アセットマネジメント等の様々な業務に従事。
法人営業では遊休不動産の有効活用提案業務を担当。

経営企画では、新規事業の推進担当として、法人の立ち上げ、株主間調整、黒字化フォローの他、パートナー企業に出向して関係構築などの業務も経験。
司法書士資格を取得する中で家族信託の将来性を感じ、2021年6月ファミトラに入社。

この記事の監修者
司法書士 田中 総

田中 総

司法書士資格保有/家族信託コーディネーター/宅地建物取引士/不動産証券化協会認定マスター

東証一部上場のヒューリック株式会社 入社オフィスビルの開発、財務、法人営業、アセットマネジメント、新規事業推進、経営企画に従事。2021年、株式会社ファミトラ入社。面談実績50件以上。首都圏だけでなく全国のお客様の面談を対応。

目次

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは?わかりやすく説明

介助士

サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)とは、安否確認と生活相談が義務付けされ完全バリアフリー化された高齢者向けの賃貸住宅のことです。

スロープや手すりなどが完備されており、高齢の方も安心して生活できるよう設計されています。
有料老人ホームと違い通常の賃貸物件なので、生活の自由度が高いのが特徴です。

一般型と介護型があり、一般型は自立している方や介護度は低いけれど1人暮らしが心配な方などが介護型は介護度が高い方が入居対象です。

施設数では9割以上が一般型となっています。
一般型では、介護が必要になった場合は、別の介護サービス事業者を利用します。

サービス付き高齢者向け住宅の2つの登録基準

2つ

サービス付き高齢者向け住宅には、以下の2つの登録基準があります。

  • 高齢者にふさわしい規模・設備
  • ケアの専門家による見守りサービスの提供

それぞれ詳しく解説します。

高齢者にふさわしい規模・設備

高齢者にふさわしい規模・設備として国土交通省は以下の基準を定めています。

  • 各居住部分の床面積が25㎡以上であること
    ただし、居間、食堂、台所その他の住宅の部分が高齢者が共同して利用するため十分な面積を有する場合は18平方メートル以上で可
  • 各居住部分が、台所、水洗便所、収納設備、洗面設備、浴室を備えたものであること
  • バリアフリー構造であること
    • 段差のない床であること
    • 便所、浴室、階段に手すりが設置されていること
    • 廊下の幅が一定以上あること

出典:国土交通省「サービス付き高齢者向け住宅

ケアの専門家による見守りサービスの提供

サ高住では、ケアの専門家による安否確認と生活相談サービスの提供が義務付けされています。

日中1名以上のケアの専門家が常駐するよう定められています。
夜間、スタッフが常駐していない施設では、緊急通報システムを利用しているところも多いです。

ケアの専門家とは、以下のとおりです。

  •  医療法人、社会福祉法人、指定居宅サービス事業者等に従事する者
  •  医師、看護師、准看護師、介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員または養成研修(介護職員初任者研修)修了者

サービス付き高齢者向け住宅の2つの種類

2つ

サ高住には、一般型と介護型の2種類があります。
一般型と介護型では、入居基準や提供されるサービスの内容が異なります。

一般型と介護型に共通した特徴は以下の2つです。

  • 専門スタッフによる安否確認と生活相談があるので、安心して生活できる
    専門スタッフが日中常駐し、安否確認と生活相談をしてくれるので、安心感があります。
  • バリアフリーなので、生活しやすい
    トイレ、浴室、階段には手すりが、その他スロープや廊下なども幅を十分とるなど、生活がしやすい設計になっています。

一般型(自立・支援タイプ)

自立している高齢者や介護度が軽い高齢者を入居対象としているため、介護サービスは提供されません。外部の介護事業者を別に利用することになります。

特徴

一般型のサ高住の主な特徴は以下の2つです。

  • 介護認定を受けていなくても入居できる
    自立している方や介護度の軽度の方の入居を想定しているので、介護認定は必要ありません。
  • 外出や外泊制限がないので自由に生活できる
    介護型や有料老人ホームのように、外出や外泊の制限がなく自由に生活ができます。

入居対象者

入居対象者は以下のとおりです。

  • 60歳以上の高齢者
  • 要介護認定を受けた60歳未満の方

その他の入居条件は施設によって様々です。
施設によっては、認知症の方を受け入れてくれるところもあれば、自立して生活できる方のみを条件にしているところもあります。

要介護度が上がると、退去を迫られる施設もあるので、契約時にしっかり確認しましょう。
また、サ高住では、同居者の入居が可能です。

同居者の条件は以下の4つです。

  • 入居者の配偶者
    配偶者には事実婚も含みます。
  • 60歳以上の親族
  • 親族で、要介護あるいは要支援の認定を受けている方
  • 特別な理由で、同居の必要性を知事が認めた方

受けられるサービス

受けられるサービスは、専門スタッフによる安否確認と生活相談です。さらに、オプションで受けられるサービスもあります。
以下詳しく解説します。

安否確認

施設のスタッフが施設内を定期的に巡回し、各部屋を訪問します。

生活相談

常駐スタッフが、入居者の生活に関する相談を受けてくれるサービスです。
常駐スタッフは、介護福祉士や看護師、社会福祉士などの専門家で、その専門性を活かして、入居者の悩みを解決できるよう支えてくれます。

オプションとして提供されるサービス
  • 生活支援
    食事、掃除、洗濯、買物代行など
  • 緊急時の対応
    医療機関や家族への取次
  • 介護サービス
    入浴、食事、排泄の介助
  • 医療行為

介護型(介護・認知症タイプ)

介護型のサ高住は、常駐スタッフによる安否確認と生活相談に加えて看護・介護サービスが受けられます。

特徴

安否確認と生活相談だけではなく、施設内に常駐する専門のスタッフによる看護・介護サービスが受けられるのが特徴です。

入居対象者

基本は一般型と同様です。

  • 60歳以上の高齢者
  • 要介護認定を受けた60歳未満の方

加えて、介護型では、自立した方から要介護度5の方まで受け入れ可能です。また、認知症の方も受け入れています。
要介護度が上がっても退去する必要がないので安心です。

受けられるサービス

安否確認と生活相談が提供されるのは、一般型のサ高住と同様です。

加えて介護型では、食事・入浴・排泄の介助などの介護サービスを受けられるので、介護度が上がった場合でも安心して生活できます。

また、看取りを行っている施設もあるので、看取りを希望する場合はよく調べましょう。

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サービス付き高齢者向け住宅への入居でかかる費用|種類と金額の目安

お金

サ高住の料金は、一般的な賃貸借と同様です。内訳は、以下のとおりです。

  • 初期費用
    • 敷金
  • 月額費用
    • 賃料
    • 共益費
    • サービス料金
    • 水道光熱費

初期費用

サ高住と似ている有料老人ホームの場合、入居一時金が平均500万円ほどかかります。
しかし、サ高住は入居一時金が存在せずに、一般的な賃貸借契約と同様、敷金のみというケースが多いです。

初期費用は、一般型・介護型ともに敷金として賃料の1~6カ月分、10〜50万円が相場です。
敷金は一般の賃貸借契約と同様に退去時に、原状回復に当てられます。

月額費用

月額費用は、一般型が15〜30万円、介護型は15〜40万円が相場です。
介護型は、介護サービスの利用分だけ高額になっています。

  • 賃料
    居住部分の賃料です。
    一般の賃貸物件と同様に、部屋の広さ、築年数、立地により異なります。
  • 共益費
    食堂や浴室など共同で使うスペースの維持管理費です。
  • サービス料金
    スタッフによる安否確認と生活相談等のサービスに関する費用です。
  • 水道光熱費
    各居室で使用した分を払う場合や、毎月固定金額を払う場合もあります。
  • 介護サービス費
    一般型の場合は、外部の介護サービスを利用し、利用した分は自己負担です。
    介護型の場合は、施設内のスタッフが介護サービスを提供し、介護度に応じて一定の金額を支払います。

サービス付き高齢者向け住宅の契約形態は2つ

契約書

サービス付き高齢者向け住宅の契約形態は以下の2つです。

  • 建物賃貸借契約
  • 終身建物賃貸借契約

それぞれ詳しく解説します。

建物賃貸借契約

建物賃貸借契約は、借地借家法に基づいたものです。一般の賃貸物件と同様、月々の家賃を払い居室を借ります。
賃貸と介護サービスが別個になっており、一般型はこちらの契約形式です。

一般の賃貸借契約と同様、契約者が亡くなると権利が相続されるので、家族はそのまま住み続けることができます。

終身建物賃貸借契約

終身建物賃貸借契約とは、高齢者が終身にわたりバリアフリー化された賃貸物件に安心して住み続けられる方式です。
都道府県知事が許可した賃貸物件で、契約者本人が生きている限り賃貸借契約は存続し、死亡時に契約が終了します。

一般の賃借権は相続対象になりますが、終身建物賃借権は契約者本人のみの権利で相続されません。

同居の配偶者は、賃借人の死亡を知った時から1カ月以内に申し出れば、住み続けることが可能です。
契約期間が終身なので、更新がなく更新料が発生しません。

サービス付き高齢者向け住宅のメリット

メリット

サービス付き高齢者向け住宅のメリットは以下の5つです。

  • 入居条件が比較的緩い
  • 生活の自由度が高い
  • サービスの選択肢が豊富
  • 初期費用を抑えやすい
  • バリアフリーなので生活しやすい

それぞれ詳しく解説します。

入居条件が比較的緩い

一般の賃貸物件の場合、60歳以上の高齢者は賃貸借契約を結ぶことが難しい場合が多いのです。

しかし、サ高住は高齢者のために作られた物件なので、条件を満たせば入居できます。
また、賃貸借契約を基本としているので、賃借人の権利保護が厚いのも魅力です。

生活の自由度が高い

サ高住は、賃貸住宅のため外出や外泊の制限や門限がありません。
居住者は自由度の高い生活を送れるのが、他の介護施設にはない大きな魅力です。

賃貸住宅なので、プライバシーが保ちやすく、自分のスペースを守りながら自由に生活ができます。

また、専門スタッフが常駐して安否確認と生活相談を行っているため、安心して生活を送ることが可能です。

サービスの選択肢が豊富

サ高住は、安否確認と生活相談が最低限のサービスとして設定されていて、その他のサービスはオプションで選べる所が多いです。

オプションで選べるサービスは、以下のとおりです

生活支援

食事、掃除、洗濯、買物代行など、施設のスタッフが、受けてくれる場合もありますが、外部のヘルパーを頼むことが多いです。

緊急時の対応

突然具合が悪くなった場合に、医療機関や家族への連絡を頼みます。

介護サービス

入浴、食事、排泄の介助等の介護サービスは、別個に介護事業者と契約します。

医療行為

一部の医療行為は、スタッフでもできますが、より専門的な医療行為は外部の看護師や医師に依頼します。

初期費用を抑えやすい

有料老人ホームに入居する場合、入居一時金として平均500万円、高いところは数千万円支払わなければなりません。

サ高住は入居一時金がないため、敷金として賃料の1〜6カ月程度払えば良いので、初期費用として支払うのは、15〜50万円程度で済みます。
これは、用意できる資金に不安のある方には大きなメリットです。

バリアフリーなので生活しやすい

サ高住はバリアフリー化が義務化されているため、高齢者でも安心して生活ができるのがメリットです。
建物全体の段差をなくし、スロープを設置するなど、足の不自由な方や車いすの方も快適に生活ができます。

また、トイレ、風呂、階段には手すりが取り付けられていて、転倒防止の対策もなされています。
入居時には自立していた方が、年を重ねて体が不自由になっても安心して暮らせる設計です。

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サービス付き高齢者向け住宅のデメリットや問題点は?

デメリット

サ高住のデメリットは、以下の4つです。

  • 介護度が上がったときのサポート不足
  • 認知症患者の増加によるサービスの不足やトラブルのリスク
  • 囲い込みによる不当な請求の被害報告も
  • 看護師が常駐していない施設もある

それぞれ詳しく解説します。

介護度が上がったときのサポート不足

一般型のサ高住は、入居者に自立して生活できる方や要介護度が低い方を想定しているため、介護サービスの提供を行っていません。

したがって、介護度が上がったときは外部の介護サービスを利用しなければなりません。
また、介護度が上がると転居や退去を求められる場合もあります。

これら介護サポートの問題に取り組んでいる一般型のサ高住もありますが、全ての施設ではありません。

サ高住を選ぶ際には、介護度が上がった時のサポート体制なども確認し、実際に施設を訪ねて実態を把握することが重要です。

認知症患者の増加によるサービスの不足やトラブルのリスク

入居したときは心身共に健康でも、その健康状態がいつまでも続くとは限りません。
前述したように、一般型のサ高住では、介護度が上がった時のサポート体制が十分ではありません。

そのため、入居者の介護度が高い入居者が増えると、スタッフの目も行き届かなくなります。その結果、施設内で転倒してケガをするなどの事故に繋がってしまいます。

その点、介護型のサ高住では、介護スタッフが常駐しているので、これらの事故を防ぐことができます。

介護度が上がった時のことまで考慮するなら、一般型のサ高住よりも、月々の支払いは増えますが介護型のサ高住がおすすめです。

囲い込みによる不当な請求の被害報告も

介護における囲い込みとは、サ高住の入居者に過剰な介護サービスを利用させることです。

サ高住の運営会社は介護事業も営んでいるところも多く、サ高住の住居者に過剰に自社の介護サービスを半ば強制的に利用させることがあります。

国としても、この状況を問題視しており、自治体に運営会社への監視と指導を徹底するよう通知を出しています。
しかし、自治体の人手不足もあり、問題解決までは至っていないのが実情です。

看護師が常駐していない施設もある

一般型のサ高住では、看護師の配置義務がありません。看護師が常駐していない施設も多く、健康面でもサポートに不安があります。

また、ケガや病気で通院することになったときに、契約によっては付き添いもしてもらえない場合もあります。

健康面で不安がある人は、一般型のサ高住ではなく介護型のサ高住や有料老人ホームも検討しましょう。

サービス付き高齢者向け住宅に関するよくある質問

よくある質問

ここでは、サービス付き高齢者向け住宅に関するよくある質問を紹介します。

サービス付き高齢者向け住宅と有料老人ホームの違いは何ですか?

サ高住と有料老人ホームの最大の違いは契約形態です。

サ高住では、建物賃貸借契約を結び、居室と共有部分を使用する権利を得て、介護サービスを利用する場合は別途介護事業者と契約を結びます。

有料老人ホームでは、利用権方式という建物を利用する権利と介護サービスを受ける権利がセットになった契約方式です。

賃借権は相続の対象になりますが、利用権は契約者の死亡と主に終了し相続の対象外です。

サービス付き高齢者向け住宅の費用に介護保険は使えますか?

介護保険はサ高住の家賃や生活支援サービスには使えません。
しかし、一般型のサ高住では、介護サービスは提供されないため、介護サービスは外部の介護事業者を使用します。

自宅で訪問看護などの介護サービスを受けたときと同様に、介護サービスを利用した分だけ介護保険料で支払います。

まとめ:サービス付き高齢者向け住宅は十分にリサーチをして選ぼう

ポイント

サービス付き高齢者向け住宅について、特徴や入居条件からメリット・デメリットまで解説しました。

サ高住は施設ごとに提供されるサービスが異なります。十分にリサーチして実際に施設に赴きその雰囲気などを感じた上で、自分に合った施設を選びましょう。

また、老後の資産管理として、家族信託を利用すれば、認知症などになっても安心です。

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この記事を書いた人

田中総 田中総 家族信託コーディネーター®エキスパート 宅地建物取引士/司法書士

東証一部上場の企業で10年以上に渡り法人営業・財務・経営企画等の様々な業務に従事。司法書士資格を取得する中で家族信託の将来性を感じ、2021年6月ファミトラに入社。お客様からの相談対応や家族信託の組成支援の他、信託監督人として契約後の信託財産管理のサポートを担当。

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