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土地を相続する際、相続税がいくらになるのか気になる方もいらっしゃるでしょう。
相続税が高すぎて払えなかったらどうしよう
相続税と贈与税はどちらが安く抑えられるのかな
このように、たくさんの不安や疑問を感じるかもしれません。
そこで、本記事では土地にかかる相続税について解説します。
贈与税との比較や計算シミュレーションもしますので、ぜひ最後までお読みください。
田中 総
(たなか そう)
司法書士
2010年、東証一部上場の不動産会社に新卒で入社し、10年以上に渡り法人営業・財務・経営企画・アセットマネジメント等の様々な業務に従事。
法人営業では遊休不動産の有効活用提案業務を担当。
経営企画では、新規事業の推進担当として、法人の立ち上げ、株主間調整、黒字化フォローの他、パートナー企業に出向して関係構築などの業務も経験。
司法書士資格を取得する中で家族信託の将来性を感じ、2021年6月ファミトラに入社。
田中 総
司法書士資格保有/家族信託コーディネーター/宅地建物取引士/不動産証券化協会認定マスター
東証一部上場のヒューリック株式会社 入社オフィスビルの開発、財務、法人営業、アセットマネジメント、新規事業推進、経営企画に従事。2021年、株式会社ファミトラ入社。面談実績50件以上。首都圏だけでなく全国のお客様の面談を対応。
相続税は、遺産総額が一定以下のときにはかかりません。
具体的には、相続した財産の額から借金や葬式費用などを差し引いた額が基礎控除額以下ならば、相続税はかかりません。
基礎控除額とは、3,000万円+(600万円×法定相続人数)で計算できます。
例えば、相続人が亡くなった方(被相続人)の配偶者と子ども3人の場合、法定相続人数は4人です。
そのため、3,000万円+(600万円×法定相続人数=4)=5,400万円が基礎控除額となり、相続した財産の額が5,400万円以下の場合、相続税はかかりません。
相続税の計算は、一般的には以下の3ステップで進められます。
まずは、遺産総額の算出です。
遺産総額を算出する際、相続税が非課税になる財産なども出てきます。
しかし、非課税財産かどうかをその都度確認していると、相続税の計算が遅くなってしまいます。一旦、全ての遺産を洗いざらい出してみてください。
遺産総額を算出できたら、続いて相続税額の算出をします。
相続税額の算出をする際は、遺産総額から非課税財産と葬式費用、借金などの債務を差し引きます。
非課税財産は、墓所や仏壇、祭具、寄付した財産の一部や生命保険金・死亡退職金の一部です。
非課税財産などを差し引いた額に、相続時精算課税の適用を受ける贈与財産と相続開始前3年以内の贈与財産を加え、正味の遺産額を算出します。
正味の遺産額から基礎控除額を計算し、差し引きすれば課税される遺産の総額が導き出されます。
最後に、課税される遺産の総額に応じた税率や控除額を当てはめて計算すれば、相続税額が算出可能です。
なお、現状では相続開始前3年以内の贈与財産が加算されますが、2024年1月1日より相続開始前7年以内に改正されますので注意が必要です。
相続人ごとの税額を算出したい場合は、相続税の総額を財産を取得した人の課税価格に応じて割り振ります。
計算式にすると、以下の通りです。
相続人ごとの税額=相続税の総額 × 各人の課税価格 ÷ 課税価格の合計額
土地の相続税計算をする上で基礎になる「土地の相続税評価額」と呼ばれるものがあります。
「土地の相続税評価額」がどのようなものか、算出方法についても解説します。
相続税評価額とは、相続税や贈与税の申告時の土地の価値を表す基準です。
相続税を申告する際には、相続財産を把握し、課税時期の時価を求めなければなりません。
しかし、様々な種類のある財産の時価を相続税の申告期限までに求めるのは簡単ではありません。
そこで、国税庁が定めた算出方法にしたがって相続税評価額を求め、相続税の申告をします。
土地の相続税評価額を評価する方法は、路線価方式と倍率方式の2種類があります。
路線価方式とは、相続税の申告を行う土地に隣接する道路(路線)に付されている路線価に土地の面積(地積)を掛けて評価する方法です。
路線価✕補正率✕地積
路線価は、国税庁により毎年7月に公表されるため、誰でも簡単に路線価を調べることができます。
なお、路線価は相続開始の年、すなわち被相続人が亡くなった年の金額を使用します。
一方、倍率方式とは、土地の固定資産税評価額に一定の倍率を掛けて評価する方法です。
固定資産税評価額✕倍率
倍率方式は、路線価が設定されていない地域で使用されます。
なお、倍率は国税庁のホームページに掲載されている倍率表から閲覧できます。
路線価方式や倍率方式は更地の評価方法であり、実家や自宅の敷地の土地の相続税を算出しません。
実家や自宅が建っている敷地の相続税評価額は、小規模宅地等により一定の面積までの部分について、80%もの割合で減額されます。
例えば、相続税評価額が1億円の土地を持っている場合、小規模宅地等の特例を使えば相続税評価額が2,000万円に減額されるのです。
これにより、実家や自宅の敷地を相続する場合は更地を相続するよりも、相続税を安く抑えられます。
アパートなどの貸家建付地の相続税評価額も、実家や自宅の場合と同じく小規模宅地等の特例により減額されます。
減額される割合は200平米まで50%であり、実家や自宅の場合ほど減額されませんが、それでも相続税評価額を半分にできます。
しかし、亡くなる直前にアパートの経営を辞めている場合などは小規模宅地等の特例が適用されないため、注意が必要です。
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土地を含む相続税の計算シミュレーションとして、具体例を1つ紹介します。
条件は以下の通りです。
相続税評価額は、簡便法と呼ばれる「固定資産税評価額÷0.7×0.8」でも、およその金額を計算できます。
簡便法を用いると、固定資産税評価額1億円の土地の相続税評価額は、1億円÷0.7×0.8=約1億1,400万円です。
すると、相続財産の総額は、土地1億1,400万円+預金5,000万円=1億6,400万円となります。
基礎控除額は、3,000万円+600万円×法定相続人の数(子ども2人)=4,200万円です。
2人の子どもは、基礎控除額を差し引いた額の半分ずつが相続税の計算対象となります。
(1億6,400万円ー4,200万円)×1/2=6,100万円
国税庁ホームページに掲載されている相続税の速算表を見ると、1億円以下の税率は30%、控除額700万円です。
これをもとに相続税の総額を計算すると、(6,100万円×30%-700万円)×2=2,260万円です。
最後に、実際に財産を取得した割合に応じて、相続税の計算は終了です。
土地にかかる相続税の節税対策は、主に以下の3つが挙げられます。
それぞれの対策方法について、具体的に解説します。
1つ目は、賃貸住宅を建てることです。
相続する土地が賃貸住宅などの事業用地として利用されていると、小規模宅地等の特例を利用できます。
小規模宅地等の特例が利用できれば相続税を安く抑えられるため、節税対策に利用できるのです。
家族信託を利用することで、節税対策としての土地活用がスムーズになります。
家族信託や家族信託での不動産売却について詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてお読みください。
2つ目は、土地を分筆することです。
土地を分筆するとは、1つの土地を2つ以上に分けることを指します。
土地を分けることにより1つの土地あたりの面積が小さくなるため、評価額を安く抑えることができるのです。
3つ目は、相続税評価額を正確に算出することです。
相続税は土地の場所や形状によっても左右されるため、細かいポイントに気を配るだけで相続税が抑えられることもあります。
特に、路線価方式で計算する場合、減額の対象となる土地は補正ができます。
土地の場所や形状については専門家でも評価が異なる場合もあるため、細かい部分までチェックするようにしてください。
土地にかかる相続税を節税する際の注意点は、主に以下の2つです。
それぞれの注意点について、以下で詳しく見ていきましょう。
1つ目は、早めに相続税対策をすることです。
例えば、小規模宅地等の特例を使おうと思い、アパート経営を開始したとします。
しかし、アパート経営の開始から3年以内に相続が発生した場合、小規模宅地等の特例を利用できず、相続税対策になりません。
このようなことが考えられるため、早めに相続税対策をするようにしましょう。
2つ目は、一次相続・二次相続を考えることです。
一次相続では、一定額まで非課税となる配偶者控除を利用できるため、相続税対策が必要ないと考える場合も少なくないでしょう。
しかし、二次相続では配偶者控除が使えないため、多額の相続税がかかってしまう可能性もあります。
そのため、一次相続のみならず二次相続も考えて相続税対策をすることが大切です。
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相続税が払えないときの対処法として、以下の4つの方法が挙げられます。
1つ目は、延納制度を利用することです。延納制度では、相続税を分割払いにすることが可能です。
4つの条件を満たすと、最長20年にわたって相続税を納められるため、一度に支払うことが難しい場合は延納制度の利用を検討してみてください。
2つ目は、物納制度を利用することです。延納制度でも支払いが難しい場合は、お金の代わりに相続財産の一部である不動産や株・債券などを納めることで納税できます。
なお、相続財産以外の不動産などは物納に充てられないため、注意してください。
3つ目は、相続放棄をすることです。財産を一切相続しない相続放棄をすれば、当然相続税を支払う必要はなくなります。
相続財産である土地から得られる恩恵も全て放棄することにはなりますが、相続税の負担を軽くするという観点から見ると、相続放棄も1つの選択肢になりうるでしょう。
4つ目は、相続した土地を売却して現金化することです。売却して得たお金によって相続税の支払いをすることができます。
なお、相続した土地を売却した場合、譲渡所得による所得税がかかるため注意してください。
相続した土地を売却する手順は、以下の3つです。
それぞれの手順について、以下で詳しく見ていきましょう。
まず、相続人の確認と遺産分割協議を行います。誰が相続人なのか、相続人はそれぞれどの財産を相続するのかを決定します。
この段階で、土地が自分の相続財産に含まれることになれば、相続した土地を売却できるのです。
続いて、土地の名義変更を行います。土地を売却するには必ず名義変更が必要になるため、忘れずにしてください。
なお、令和6年4月からは土地を売却するかどうかにかかわらず相続登記が義務化されます。
相続により所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければいけなくなるため、覚えておきましょう。
名義変更できたら、土地の売却です。通常の土地・建物の売買と同じく、不動産会社に依頼をして買い手を見つけていきます。
売買契約が成立したら、買い手に所有権を移すための登記手続きも必要になるため、専門家に依頼してスムーズに手続きを進めましょう。
最後に、土地の相続税に関するよくある質問を紹介します。
土地の相続と生前贈与は、場合によってどちらがお得かが変わります。
生前贈与では、相続時精算課税制度を利用することで2,500万円までは贈与税の課税対象から外れます。
一方、相続では基礎控除や配偶者の税額軽減制度により、相続税を減らすことが可能です。
しかし、相続では登録免許税が、生前贈与では登録免許税と不動産取得税がかかるため、それぞれの場合で負担がかかります。
そのため、どちらがお得かは状況によって異なるため、制度を理解した上で比較してみてください。
どんな人でも、遺産額が3,600万円以下なら相続税は課税されません。
相続税では基礎控除額が設けられており、「3,000万円+(600万円×法定相続人数)」は相続税が課税されないのです。
法定相続人が1人の場合であっても、3,000万円+600万円=3,600万円は課税されないため、どんな人でも遺産額が3,600万円以下なら相続税は課税されません。
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土地にかかる相続税は、土地が更地か実家かアパートかによって、税額が異なります。
更地の場合が相続税が最も高くなるため、節税したい場合は早めにアパートを建てるなどして対策をすることがおすすめです。
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